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労働現場における差別的取り扱いについて(その1)

2020年の東京オリンピックでゴルフ競技の会場となっている霞ヶ関カンツリー倶楽部で、女性が正会員になれないことが、ニュースが話題になっているね。
これから2回にわたって、労働現場における差別的取り扱いについて、幅広く検討していこう。まずは、これまで最も議論されてきた、性差別についてです。日本の労働法では、男女差別について、どういった考え方が取られているかな。まずは、労働基準法ではどうだろうか。
はい、労働基準法4条で、賃金について、女性であることを理由とした差別的取り扱いを禁止しています。
これを「男女同一賃金の原則」と言うこともありますね。この原則に違反した場合、企業はどういう法的責任を負うでしょうか。
まず、刑事上の責任として、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金刑の対象となります。
民事上は、不法行為が成立し、損害賠償責任を負うことになります。男女別の賃金が明確に定められている場合、男女の賃金の差額を請求することができます。
一方、差別がなかったときに支給すべき賃金額の算定基準が明らかでない場合に、同僚の男性社員複数名の平均基本給から算出した賃金と、女性従業員の賃金額との差額を賠償額とした裁判例もあります。
賃金以外の差別的取り扱いについては、これまでの判例はどのような判断をしてきただろうか。
結婚退職制度(東京地判昭和41年12月20日)や、男女別定年制度(最判昭和56年3月24日)について、裁判所は、公序違反を理由に、違法、無効であると言っています。
そうだね。こうした判例が出た後、昭和60年に男女雇用機会均等法(以下「均等法」)が成立しています。均等法では、主にどういうことが定められていますか。
募集・採用について男女で均等な機会を与えることや、労働条件について性別を理由とした差別的取り扱いを禁止しています。また、使用者が、女性の結婚、妊娠、出産を退職理由として予め決めておくことはできませんし、これらの事由が生じたときに、解雇その他不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
これらに違反した場合、企業はどういう法的責任を負いますか。
こうした差別的取り扱いや不利益の取り扱いへの違反について、行政は勧告することができ、勧告に従わない場合は公表されることもありますが、直接的な刑事罰は規定されていません。
でも、 労働局長は、均等法の施行に関して必要があるときは、事業者に報告を求めることができ、事業者が報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合、20万円以下の過料が課されるともされているわね。
それから、民事上では、例えば、結婚を解雇事由とする合意や、妊娠を理由とした解雇は無効となることを忘れてはならないね。それでは、今日はここまで。次回は、性別以外の差別的取り扱いについて、議論していきましょう。

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