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「労働現場における差別的取り扱いについて」(その2)

前回は、労働現場における性別による差別的取り扱いについて整理できたね。今回は、性別以外の差別的取り扱いについて検討していこう。法律上は、どのように規定されていますか。
まず、労働基準法3条では、国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱をすることを禁止しています。同条に違反した場合、使用者は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科され、また、不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。こうした刑事上・民事上の責任は、前回検討した4条違反のものと同様です。
国籍、信条又は社会的身分以外の事由による差別的取り扱いを禁止している規定はわかるかな。
雇用対策法10条では、労働者の募集及び採用についての年齢差別を原則として禁止しています。
それでは、労働者の雇用形態による差別的取り扱いに対しては、どのような規制がなされているかな。
労働契約法20条では、有期雇用契約の労働者の労働条件が、期間の定めのない労働者(正社員)のものと相違する場合、その相違は、①業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(職務の内容)、②当該職務の内容及び配置の変更の範囲、③その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないと定められています。
さらに、パートやアルバイトといった短時間労働者の差別を禁止している法律もあります。短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(いわゆるパートタイム労働法)9条では、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取扱いをしてはならないと定められています。
「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」については、平成27年4月の改正によって、①職務の内容が正社員と同一であって、②人材活用の仕組みが正社員と同一であれば足り、それまで要求されていた「無期雇用契約を締結していること」という要件が削られましたね。これにより、どういった変化が生じましたか。
この改正により、有期雇用契約を締結しているパートタイム労働者であっても、職務の内容も人材活用の仕組みも正社員と同一であれば、賃金の決定等の待遇について正社員との差別的取り扱いが禁止されることになりました。
それでは、パートタイム労働法違反について、企業はどのような責任を負うことになりますか。
同法によると、厚生労働大臣は事業者に対し、雇用管理について報告を求めたり勧告をすることができます。当該報告をせず、または虚偽の報告をした場合には20万円以下の過料に処せられるおそれがあり、勧告に従わない場合には事業者名を公表されるおそれがありますので、注意する必要があります。

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