下請法
情報成果物作成委託及び役務提供委託
1.情報成果物作成委託
第2条第3項前段
3 この法律で「情報成果物作成委託」とは,事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること……をいう。
第2条第6項
6 この法律で「情報成果物」とは,次に掲げるものをいう。
- ① プログラム(電子計算機に対する指令であつて,一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)
- ② 映画,放送番組その他影像又は音声その他の音響により構成されるもの
- ③ 文字,図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの
- ④ 前3号に掲げるもののほか,これらに類するもので政令で定めるもの
第2条第3項前段
例えば、海外のゲームソフトを日本国内向けに販売する会社が、販売の前提として当該ゲーム内で使用されている外国語の和訳を外注する場合、和訳文書は情報成果物(第2条第6項第3号)に該当し、当該和訳文書はゲームソフトを構成することとなる情報成果物であるので、和訳を外注することは、「業として行なう提供……の目的たる情報成果物の作成の行為の……一部を他の事業者に委託すること」に当たるから、情報成果物作成委託に該当します。
また、委託先に著作権が帰属する場合でも、第2条第3項の要件に該当するならば、「情報成果物作成委託」となります。
第2条第6項
第1号の情報成果物の例としては、ゲームソフト、会計ソフト、家電製品の制御プログラム等が挙げられます。
第2号の情報成果物の例としては、テレビ、ラジオ番組、CM、映画等が挙げられます。
第3号の情報成果物の例としては、設計図、各種デザイン、雑誌広告、報告書等が挙げられます。
第4号において「政令で定めるもの」も情報成果物とするとされていますが、2017年11月の時点では、第4号を受けた政令の規定はありません。
第2条第3項後段
3 この法律で「情報成果物作成委託」とは,……事業者がその使用する情報成果物の作成を業として行う場合にその情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託することをいう。
第2条第3項後段
ある会社が、無償で提供する情報成果物の作成(カタログやチラシの原稿、ポスターの原画の作成等)を外注する場合であっても、当該会社がこれらを自ら、反復継続的に作成する場合は、第2条第3項後段の「情報成果物作成委託」に該当します。
2.役務提供委託
第2条第4項
4 この法律で「役務提供委託」とは,事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第2項に規定する建設業をいう。以下この項において同じ。)を営む者が業として請け負う建設工事(同条第1項に規定する建設工事をいう。)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。)をいう。
第2条第4項
「役務」とは「商品」と対になる概念で、運送、メンテナンス、アフターサービスやコールセンター等、幅広くサービス全般を指します。
建設業法に規定される建設業を営む事業者が請け負う建設工事の全部又は一部を下請けに出すことは、下請法の対象にはなりません。しかし、建設資材や部材の販売を営む建設業者がかかる商品の製造を外注することは「製造委託」(第2条第1項)の対象となり、また、建設業者が建物の設計図面を外注することは「情報成果物作成委託」の対象となります。