下請法
親事業者の遵守事項(受領拒否・支払遅延・下請代金減額の禁止)
1.受領拒否の禁止
第4条第1項第1号
1 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
① 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請事業者の給付の受領を拒むこと。
第4条第1項第1号
単純な受領拒否のみならず、発注の取消しや、納期の延期により納品物を受け取ろうとしないことも、「受領を拒むこと」に該当します。 また、発注していないのに、下請事業者が見込みで作成してしまった物品については、受領を拒絶しても第1号には該当しません。しかし、親事業者が下請事業者に対し、口頭で発注するにとどまり、第3条書面を作成していない場合において、親事業者が受領を拒んだときには、第3条のみならず、第4条第1項第1号にも違反することになります。
2.支払遅延の禁止
第4条第1項第2号
1 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
② 下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと。
第4条第1項第2号
下請法第2条の2第1項により、親事業者は、受領日から60日以内に下請代金を支払う旨を定めなければなりません。
したがって、受領後60日以内に下請代金を支払わなければ、第4条第1項第2号違反となります。
納品された物品の検査に日数がかかったとしても、受領後60日以内に支払わなければ、支払遅延となります。
また、下請事業者から請求書の発行がなくとも、受領後60日以内に支払わなければならないことに変わりはありません。
さらに、下請事業者からの申入れにより、当月納入分を翌月納入分として取り扱ってほしいと合意したとしても、実際に受領した日から60日以内に下請代金を支払う必要があるので、注意が必要です。
3.下請代金減額の禁止
第4条第1項第3号
1 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
③ 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請代金の額を減ずること。
第4条第1項第3号
協賛金の徴収や、原材料価格の下落、予想よりも業務量が少なかったといった名目の如何にかかわらず、発注時に決定した下請代金からの、一切の減額行為が禁止されています。
また、振込手数料相当額を下請代金から減額することについては、発注前に当該手数料を下請事業者が負担すべきことが書面で合意されていれば、親事業者が負担した振込手数料相当額を差し引くことができます。
さらに、発注前に書面で、下請代金から減額する旨の合意がなされていても、かかる合意にもよる減額は、第4条第1項第3号に違反します。