下請法
親事業者の遵守事項(返品・買いたたき・強制購入の禁止)
1.返品の禁止
第4条第1項第4号
1 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
④ 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに,下請事業者の給付を受領した後,下請事業者にその給付に係る物を引き取らせること。
第4条第1項第4号
親事業者による返品は原則として禁止されていますが、親事業者が受入検査を行い,一旦合格品として取り扱ったもののうち,直ちに発見することができない瑕疵があったものについては,受領後6か月以内であれば返品することができます(商法526条2項)。
2.買いたたきの禁止
第4条第1項第5号
1 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
⑤ 下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。
第4条第1項第5号
「通常支払われる対価」とは、同種又は類似品等の市価を指します。
下請代金は、親事業者と下請事業者とが事前に協議を行って決定する必要があります。
したがって、当初の見積書の段階より作業内容が増えたにもかかわらず,下請代金の額の見直しをせず,当初の見積書による単価で発注すれば,下請代金の決定に当たり下請事業者と十分な協議が行われたとは言えず,第4条第1項第5号の買いたたきに該当するおそれがあります。このように,最終的な発注を行う前に、下請事業者から申出の有無にかかわらず,最終的な作業内容を反映した再見積りを取得し、単価の見直しを行う必要があるのです。
3.物の購入強制・役務の利用強制の禁止
第4条第1項第3号
1 親事業者は,下請事業者に対し製造委託等をした場合は,次の各号(役務提供委託をした場合にあつては,第1号及び第4号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
⑥ 下請事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き,自己の指定する物を強制して購入させ,又は役務を強制して利用させること。
第4条第1項第6号
「給付の内容を均質に」する必要がある場合の例としては、部品の品質を維持する必要がある場合や、作成を委託する放送番組の質を確保する必要がある場合が挙げられます。
「役務を強制して利用させる」ことの例としては、親事業者が指定する保険やリースに加入するよう強制することが挙げられます。