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時間外労働の上限を定める法改正に向けて

1.長時間労働の是正に向けた取り組み

今回、政府は、「働き方改革実現会議」において、長時間労働の是正に向け、残業時間の上限を年間720時間、月平均60時間とする原案を発表しました。

この原案の内容で法改正がなされた場合、労働者の働き方に大きな影響が生じることが予想されます。

そこで、今回は、時間外労働に関する現行の法律のあり方を確認した上で、新たに提案された原案について説明したいと思います。

2.現行の残業時間の上限

労働時間は、原則として、1日8時間、1週間40時間を越えてはいけません。

これを超えて働くことを、労働基準法では、時間外労働と呼んでいます。

時間外労働を行うには、使用者と労働者との間で、労使協定(いわゆる36協定)を締結しなければなりません。しかし、36協定を締結しさえすれば、無制限に時間外労働が許されるわけではなく、月45時間、年360時間と、時間外労働にも上限があります。

ところが、この上限は法律で定められているわけではなく、36協定に「特別条項」を付ければ、年6ヶ月までは上限なく労働時間を延長することができ、また、違反しても罰則はありません。

3.今回の政府原案の内容

上記のような現行法の仕組みが、近年問題化している長時間労働や過労死を生む原因であると指摘されてきました。

そこで、平成29年2月14日、安倍総理もメンバーに加わる「働き方改革実現会議」において、法改正案のたたき台となる事務局案が示されました。

この事務局案では、36協定による時間外労働の上限を、原則として月45時間、年360時間とすることを法律に明記し、これに違反した場合には罰則を課すことを提案しています。

さらに、上記上限を超える特例を労使間で合意したとしても、年720時間(月平均60時間)を超えた時間外労働は許されないことも法律に盛り込むよう、提案しています。

この事務局案のとおりに法律が改正されるかは、現時点ではわかりませんが、時間外労働の上限違反により罰則が課されることになれば、企業における労働環境も大きく変化していく必要があります。これからも、改正に向けた動きから目が離せません。

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