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従業員の過労死について(その2)

前回は過労死の労災としての認定基準や、裁判ではどのような点が争点になるのかを学んだね。
私も今日の授業に向けてしっかりと復習をしてきたわ。あ、博士が来たわよ。
それでは授業を始めるよ。今回も引き続き企業における過労死について学んでいこう。今回は企業が注意すべき点を学んでいくが、まずは基本の確認だ。労働基準法上、労働時間の上限はどのように定められているかな。
労基法上、一日につき8時間、一週間につき40時間を超えて労働させてはならないと定められています。ただし、労使間の協定(いわゆる三六協定)を結び、労働基準監督署長に届け出ることにより、これらの上限を超えて労働させることが可能になります。
それじゃあ、三六協定さえ結べば、労働時間に上限はないのかな。
労働基準監督署の基準により、時間外労働の上限は協定内で定める必要があり、原則月45時間を超えることはできない。しかし、特別な条件を満たせば、その上限を超える時間を定めることも可能となっている。
でも、過労死に対する賠償責任との関係では、前回学んだ平成12年判決の内容に気を付ける必要があるわ。例え長時間労働させることが法律上可能であっても、労働者が長時間にわたる残業を行わざるを得ない状態にあることや健康状態が悪化していることを認識した場合には、業務の量を適切に調整する等して、労働者の負担を軽減する措置を採る必要がありそうね。
そのとおり。しっかり理解できているね。 近年過労死が増加した背景を踏まえ、平成26年11月1日には、過労死等防止対策推進法が施行されている。同法上、事業主は、国及び地方公共団体が実施する過労死等の防止のための対策に協力するよう努めるものとされている。さらに、同法を受けて作成された「過労死等の防止のための対策に関する大綱 」では、経営幹部等が持つべき具体的な問題意識や、産業保健スタッフ等の活用についての努力規定が定められている。
過労死の防止のために、国も積極的に調査研究を行っているんだね。
今年9月に発足した政府の「働き方改革実現会議」では、冒頭で確認した残業時間の上限規制についても議論されることが予定されている。今後の議論の経過に注目する必要がありそうだね。

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