不正競争防止法
営業秘密の不正取得等
1.営業秘密の不正取得等
第2条第1項第4号
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
④ 窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(以下「不正取得行為」という。)又は不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為(秘密を保持しつつ特定の者に示すことを含む。以下同じ。)
第2条第6項
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
第2条第1項第4号
「窃盗、詐欺、強迫その他の不正な手段」の要件については、窃盗、詐欺、強迫そのものに厳密に該当しなくとも、これに類する不正手段により営業秘密を取得する場合も、4号に該当すると認めるのが、裁判例の傾向です。 裁判例では、営業秘密であるカートクレーンの設計図等を社外に持ち出してコピーした行為を、不正競争防止法2条1項4号の「その他の不正手段」としています(東京高判平成14年1月24日)。
第2条第6項
「秘密として管理されている」とは、判例によれば、①当該情報へのアクセスが制限されていること、②当該情報にアクセスした者が当該情報が営業秘密であることを客観的に認識できるようにしていることとされています。
「公然と知られていない」とは、情報が新聞・雑誌・インターネット上に掲載される等、一般に流出していないことが必要です。複数の者に当該情報を知られたとしても、その者が秘密保持義務を負っているならば、「公然と知られていない」ものとされます。
2.不正取得された営業秘密であることを知りつつ取得する行為等
第2条第1項第5号
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
⑤ その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為
第2条第1項第5号
「不正取得行為」は、第2条第1項第4号に定義されています。
「重大な過失」とは、不正取得行為が介在したことを重大な過失により知らないことをいいます。
悪意又は重過失であれば、不正取得者からの第一次取得者だけでなく、第二次取得者以降も本号の対象となります。
3.事後に不正取得の事実を知りながら使用・開示する行為等
第2条第1項第6号
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
⑥ その取得した後にその営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないでその取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為
第2条第1項第6号
「不正取得行為」は、第2条第1項第4号に定義されています。
また、第5号と同じく、事後的に悪意又は重過失となった場合には、不正取得者からの第一次取得者だけでなく、第二次取得者以降も第6号の対象となります。