不正競争防止法
原産地等の誤認についての不正競争行為等
1.原産地等の誤認についての不正競争行為
第2条第1項第14号
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
⑭ 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
第2条第1項第14号
「原産地……について誤認させるような表示」であると認めた裁判例は、以下のとおりです。
- ①「京の柿茶」という飲料商品に付された「京の」という表示は、当該茶の飲料の製造地や原材料生産地が京都市及びその周辺あるいは京都府であることを表示するとの理解が一般であることから、原産地の誤認表示であるとした事例(東京地判平成6年11月30日)
- ②日本で製造された洋服に、英国の地名の英文字や図案をアイロンで押捺する行為は、生地が英国で製造されたものと誤認を生じさせるものであるとした事例(東京高判昭和49年7月29日)
- ③ヘアピン販売に際し、包装袋の表面に外国の国旗を印刷したシールを貼り、缶容器の蓋に販売者の商号を英語で記し、さらに、包装袋の裏面に「世界中のピンを集大成」などと記載した説明書を同封する行為は、当該外国において製造されたものと誤認させる可能性が高いとして、原産地誤認表示に該当するとした事例(大阪地判平成8年9月26日)
2.他者の信用を害する不正競争行為
第2条第1項第15号
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
⑮ 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為
第2条第1項第15号
裁判例上、「営業上の信用」は広く解されており、信用毀損の対象は、営利事業を行う者の営業に限られません。
具体的には、非営利事業を行う学校法人、宗教法人、医療法人等の事業に対する信用も「営業上の信用」に該当するとされています(東京地判平成13年7月19日)。
3.代理人等による商標の冒用行為
第2条第1項第16号
第2条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。
⑯ パリ条約(商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第四条第一項第二号に規定するパリ条約をいう。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。以下この号において単に「権利」という。)を有する者の代理人若しくは代表者又はその行為の日前一年以内に代理人若しくは代表者であった者が、正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標をその権利に係る商品若しくは役務と同一若しくは類似の商品若しくは役務に使用し、又は当該商標を使用したその権利に係る商品と同一若しくは類似の商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくは当該商標を使用してその権利に係る役務と同一若しくは類似の役務を提供する行為
第2条第1項第16号
16号は、例えば、商標を有する外国企業が自社商品の日本進出を図り、日本に代理店をおいて営業しようとした際、その代理店が企業の承諾を得ずに、正当な理由なくその商標を使用して商品を販売したり、商標を登録した場合に適用されることが想定されます。