一般的に、携帯電話の通信サービス契約では、契約後2年間に・・・
弁護士の回答
裁判において、携帯電話の利用契約の解約手数料を定めた条項につき、消費者契約法に違反して無効であるとの主張がなされましたが、その裁判では、解約手数料を定めた条項も有効である、との判断がなされています(大阪高裁判決平成25年7月11日)。
この点に関し、消費者と事業者の間の情報格差を踏まえ、消費者の利益を守るため、消費者契約法という法律が定められていますが、上記判決では、解約手数料を定めた契約条項は、同法9条及び10条に違反せず有効である、との判断がなされています。以下では、①消費者契約法9条、②同法10条に関し、それぞれ説明します。
① 消費者契約法9条について
消費者契約法9条1号は、消費者からの契約解除による損害賠償額や違約金を予め定める条項は、当該消費者契約と同種の消費者契約に伴い事業者に生ずるべき「平均的な損害」を超える場合、その超えた部分について無効となる、と定めています。
例えば、解除手数料が2万円だと契約に定められていても、解除により事業者に生ずべき「平均的な損害」が1万5000円であると認定されれば、それを超える5000円部分は無効になり、支払う必要はない、ということになります。
上記裁判例でも、携帯電話を利用した3G通信サービスにつき解約手数料が定められており、解約手数料の金額が、消費者の解除により事業者に生じる「平均的な損害」を超えるものだったか否かが争点の一つになりました。
大阪高裁は、「平均的な損害」を算出するに当たり、解除がなければ携帯電話会社が得られたはずの利益(これを「逸失利益」といいます。)が、「平均的な損害」であるとしました。そして、消費者が支払った解約手数料は、この「平均的な損害」を超えないから、解約手数料を定めた契約条項は、消費者契約法9条1号に違反しない、と判断したのです。また、1回以上更新した後に解約する場合の解約手数料についても、「平均的な損害」は携帯電話会社の逸失利益であるとし、更新後の解約手数料についても消費者契約法9条1号に違反しないと判断しています。
② 消費者契約法10条について
次に、消費者契約法第10条は、消費者契約の条項のうち、民法の信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効であるとしています。
上記判決では、更新前及び更新後の解約手数料の特約が、消費者契約法10条の信義則違反に該当するかにつき、携帯電話会社から消費者に対し、解約手数料の十分な説明が行われていること、消費者も通常はこれを理解した上で契約を締結していることから、事業者と消費者との間で看過できないような情報の質や量、交渉力の格差があるとは言えないため、解約手数料を定めた契約条項は、消費者契約法10条の信義則違反には該当しないとしました。
以上のとおり、上記大阪高裁判決は、更新前の解約手数料についても、更新後の解約手数料についても、消費者契約法違反にはならない、と判示したのです。
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