企業法務担当者のための解決サイト

397357人目の訪問者

企業法務相談.JP

A大学からの合格通知を受け取った際、入学金と授業料を先に・・・

A大学からの合格通知を受け取った際、入学金と授業料を先に支払いました。A大学では、他大に進学した場合でも入学金や納付済みの授業料は返還しないとの特約がありました。しかし、私はB大学も並行して受験しており、そちらの合格発表はまだです。もしB大学に合格してそちらに入学することになった場合、A大学から入学金や授業料は返してもらえないのでしょうか。

弁護士の回答

この点につき、判例は、入学を取りやめた場合には入学金の返還を求めることはできないが、大学入学日(41日)以前に入学を取りやめた場合、納付済みの授業料については、返還を求めることができる、との判断を下しました(最判平成18年 11月27日民集60巻9号3437頁。なお、この日は、授業料不返還特約についての同趣旨の判決が最高裁から複数出されています。)。

上記判例は、まず、入学金によって、受験生は、大学に入学しうる地位又は学生たる地位を取得するという対価を享受しているから、入学金納付後に入学を辞退しても、その返還を求めることはできない、と述べました。

次に、この判例では、授業料の不返還特約が消費者契約法91号(消費者からの契約解除による損害賠償額や違約金を予め定める条項は、当該消費者契約と同種の消費者契約に伴い事業者に生ずるべき「平均的な損害」を超える場合、その超えた部分について無効となる、と定めています。)に違反しないか、この場合の「平均的な損害」とは何かが争点となりました。

この点につき、上記判例は、331日(入学日の前日)までに入学を辞退した場合、すなわち在学契約を解除した場合には、原則として、大学側には、学生により解除による損害は発生しないとしました。

したがって、「平均的な損害」は0円ということになり、納付済みの授業料全額につき、不返還特約は全て無効となるため、大学は学生が納付した授業料全額を返還しなければならない、としました。

一方で、41日(入学日)以降に契約を解除した場合、原則として、学生が納付した授業料は、それが初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り、大学に生ずべき平均的な損害を超えず、不返還特約はすべて有効となる、としています。

以上の判例からすると、上記判例と同様の事案においては、在学契約の解除の意思表示が、331日までに行われた場合には納付済み授業料は全額返還されることとなる一方、41日以降に行われた場合には、原則として全額返還されないことになりますので、注意が必要です。

問題は解決しましたか?

もし問題が解決しなかったら、「弁護士に何度でも相談できる」顧問弁護士のサービスへ