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私は、先日宿泊したホテルで宿泊手続きを行った後、ホテルの・・・

私は、先日宿泊したホテルで宿泊手続きを行った後、ホテルのベルボーイに対し、宝石(100万円相当)の入ったバッグを預け、私の部屋まで運ぶよう依頼しました。しかし、ベルボーイが目を離した隙に、そのバッグが何者かに持ち去られてしまいました。結局、犯人は捕まりませんでした。  ホテルに弁償を求めたところ、以下のような約款があるとして、15万円以上は弁償しない、との回答がありました。 私は15万円までしか弁償を受けられないのでしょうか。なお、ベルボーイに預けた際、私は中身が宝石だとは告げていません。

<ホテルの宿泊約款>
宿泊客が当ホテル内にお持込になった物品又は現金並びに貴重品であってフロントにお預けにならなかったものについて、当ホテルの故意又は過失により滅失、毀損等の損害が生じたときは、当ホテルはその損害を賠償します。 ただし、宿泊客からあらかじめ種類及び価額の明告のなかったものについては、15万円を限度として当ホテルはその損害を賠償します。

弁護士の回答

判例は、質問と同様の事例において、上記宿泊約款のただし書きは、「ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない」との判断を行いました(最判平成15年 2月28日)。

上記判例は、まず、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合に、上記ただし書きにより、ホテル側の損害賠償義務の範囲が制限されるとすることは、著しく衡平を害し、当事者の通常の意思に合致しないと述べました。したがって、上記ただし書きは、ホテル側に故意又は重大な過失がある場合には適用されない、と判断したのです。

さらに、最高裁は、宿泊客側に過失があった場合には、過失相殺がなされる可能性についても示唆しています。

この判例を踏まえると、宿泊客が貴重品であることをホテル側に告げなかったとしても、当該貴重品が紛失した場合であって、ホテル側の故意や重大な過失があったときには、宿泊約款ただし書きによる責任制限が認められないことになります。

もっとも、貴重品であることを告げなかったことやその他の事情に照らし、宿泊者側に過失があると認められた場合には、過失相殺により、賠償額が減額される可能性があります。

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