消費生活協同組合法
管理
定款
第二十六条組合の定款には、次の事項を記載し、又は記録しなければならない。
- 一事業
- 二名称
- 三地域又は職域
- 四事務所の所在地
- 五組合員たる資格に関する規定
- 六組合員の加入及び脱退に関する規定
- 七出資一口の金額及びその払込みの方法並びに一組合員の有することのできる出資口数の最高限度に関する規定
- 八第一回払込みの金額
- 九剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
- 十準備金の額及びその積立ての方法に関する規定
- 十一組合員の権利義務に関する規定
- 十二事業の執行に関する規定
- 十三役員に関する規定
- 十四総会に関する規定
- 十五事業年度
- 十六公告方法(組合が公告(この法律又は他の法律の規定により官報に掲載する方法によりしなければならないものとされているものを除く。)をする方法をいう。以下同じ。)
- 十七共済事業を行うときは、その掛金及び共済金の最高限度
- 十八存立の時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
- 十九現物出資をする者を定めたときは、その者の氏名、出資の目的たる財産及びその価格並びにこれに対して与える出資口数
2行政庁は、模範定款例を定めることができる。
3組合は、公告方法として、当該組合の事務所の店頭に掲示する方法のほか、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができる。
- 一官報に掲載する方法
- 二時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
- 三電子公告(公告方法のうち、電磁的方法(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第三十四号に規定する電磁的方法をいう。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であつて同号に規定するものをとる方法をいう。以下同じ。)
4組合が前項第三号に掲げる方法を公告方法とする旨を定款で定める場合には、その定款には、電子公告を公告方法とすることを定めれば足りる。この場合においては、事故その他やむを得ない事由によつて電子公告による公告をすることができない場合の公告方法として、同項第一号又は第二号に掲げる方法のいずれかを定めることができる。
5組合が電子公告により公告をする場合には、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日までの間、継続して電子公告による公告をしなければならない。
- 一公告に定める期間内に異議を述べることができる旨の公告 当該期間を経過する日
- 二前号に掲げる公告以外の公告 当該公告の開始後一月を経過する日
6組合が電子公告によりこの法律その他の法令の規定による公告をする場合については、会社法第九百四十条第三項、第九百四十一条、第九百四十六条、第九百四十七条、第九百五十一条第二項、第九百五十三条及び第九百五十五条の規定を準用する。この場合において、同法第九百四十条第三項中「前二項の規定にかかわらず、これら」とあるのは、「消費生活協同組合法第二十六条第五項の規定にかかわらず、同項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
7第一項に掲げる事項のほか、組合の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項及びその他の事項でこの法律に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
第26条
組合の定款における絶対的記載事項(1項)及び定款の公告方法(2項~6項)が規定されております。
組合の定款には、1項の絶対的記載事項以外に相対的記載事項及び任意的記載事項を規定することができます(7項)。
規約
第二十六条の二会計又は業務の執行に関し、組合の運営上重要な事項は、定款で定めなければならない事項を除いて、規約で定めることができる。
第26条の2
組合の会計・業務執行に関する事項は、定款のほか規約で定めることができます。
共済事業規約
第二十六条の三組合は、共済事業を行おうとするときは、規約で、共済事業の種類ごとに、その実施方法、共済契約並びに共済掛金及び責任準備金の額の算出方法に関して厚生労働省令で定める事項を定めなければならない。
2組合が責任共済又は責任共済の契約によつて負う共済責任の再共済(以下「責任共済等」という。)の事業を行おうとする場合における前項の規定の適用については、同項中「共済事業の種類ごとに、その実施方法、共済契約並びに共済掛金及び責任準備金」とあるのは、「その実施方法、共済契約及び共済掛金」とする。
第26条の3
組合が共済事業を行おうとするとき、実施方法、共済契約、共済掛金、責任準備金について消費生活協同組合施行規則第55条に規定されている事項を定めなければなりません。
貸付事業規約
第二十六条の四組合は、貸付事業を行おうとするときは、規約で、その実施方法及び貸付けの契約に関して厚生労働省令で定める事項を定めなければならない。
第26条の4
組合が貸付事業を行おうとするとき、実施方法及び貸付の契約に関して、消費生活協同組合施行規則第57条に規定されている事項を定めなければなりません。
定款の備置き及び閲覧等
第二十六条の五組合は、定款及び規約(以下この条において「定款等」という。)をその各事務所に備え置かなければならない。
2組合員及び組合の債権者は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、組合は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
- 一定款等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
- 二定款等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3定款等が電磁的記録をもつて作成されている場合であつて、各事務所(主たる事務所を除く。)における前項第二号に掲げる請求に応ずることを可能とするための措置として厚生労働省令で定めるものをとつている組合についての第一項の規定の適用については、同項中「各事務所」とあるのは、「主たる事務所」とする。
第26条の5
組合は、定款及び規約を各事務所に備え置かなければなりません(1項)。
また、組合員と組合の債権者は、営業時間ならばいつでも定款及び規約を閲覧・謄写請求できます(2項)。
役員の定数
第二十七条組合には役員として理事及び監事を置く。
2理事の定数は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。
第27条
組合には、理事と監事を置かなければならず(1項)、その定足数も法律で規定されています(2項)
役員の選挙
第二十八条役員は、定款の定めるところにより、総会においてこれを選挙する。ただし、組合設立当時の役員は、創立総会においてこれを選挙する。
2理事は、組合員又は会員たる法人の役員でなければならない。ただし、組合設立当時の理事は、組合員になろうとする者又は会員になろうとする法人の役員でなければならない。
3特別の理由があるときには、理事の定数の三分の一以内を限り、前項に該当しない者のうちから、これを選挙することができる。
4その行う事業の規模が政令で定める基準を超える組合にあつては、監事のうち一人以上は、次に掲げる要件の全てに該当する者でなければならない。
- 一当該組合の組合員又は当該組合の会員たる法人の役員若しくは使用人以外の者であること。
- 二その就任の前五年間当該組合の理事若しくは使用人又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役若しくは使用人でなかつたこと。
- 三当該組合の理事又は重要な使用人の配偶者又は二親等内の親族以外の者であること。
5前項第二号に規定する「子会社」とは、組合が総株主等の議決権(総株主又は総出資者の議決権(株式会社にあつては、株主総会において決議することができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。)をいう。第四章の三において同じ。)の過半数を有する会社をいう。この場合において、当該組合及びその一若しくは二以上の子会社又は当該組合の一若しくは二以上の子会社がその総株主等の議決権の百分の五十を超える議決権を有する他の会社は、当該組合の子会社とみなす。
6第四項の組合は、監事の互選をもつて常勤の監事を定めなければならない。
7役員の選挙は、無記名投票によつて行う。
8投票は、一人(第十七条第一項ただし書の規定により選挙権につき定款で別段の定めをする連合会にあつては、選挙権一個)につき一票とする。
9第一項の規定にかかわらず、役員は、定款の定めるところにより、総会(組合設立当時の役員は、創立総会)において選任することができる。
第28条
組合の役員は、総会により選ばれます(1項)。また、理事は原則として組合員でなければなりませんが(2項)、理事の3分の1以下の人数ならば組合員でない者を理事に置くことができます。
一定規模以上の組合においては、監事のうち1人は、組合員や使用人以外の者で過去5年間当該組合の理事等を経験していない者でなければなりません。
役員の選挙は無記名投票で(7項)、1人1票となっています(8項)。
役員の補充
第二十九条理事又は監事のうち、その定数の五分の一を超えるものが欠けたときは、三月以内にこれを補充しなければならない。
第29条
理事及び監事は、その定数の5分の1を超えて欠けた場合には、理事又は監事を補充しなければなりません。
組合と役員との関係
第二十九条の二組合と役員との関係は、委任に関する規定に従う。
第29条の2
組合と役員との関係は、委任関係になるため生協法に規定がないものについては、民法の委任の規定が適用されます。
役員の資格等
第二十九条の三次に掲げる者は、役員となることができない。
- 一法人
- 二成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
- 三この法律、会社法若しくは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の規定に違反し、又は民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第二百五十五条、第二百五十六条、第二百五十八条から第二百六十条まで若しくは第二百六十二条の罪若しくは破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百六十五条、第二百六十六条、第二百六十八条から第二百七十二条まで若しくは第二百七十四条の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
- 四前号に規定する法律の規定以外の法令の規定に違反し、禁錮
2前項各号に掲げる者のほか、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は、共済事業を行う組合の役員となることができない。
第29条の3
法人や成年被後見人、被保佐人、禁固以上の刑に処せられ執行が終わっていない者などは理事及び監事になることはできません(1項)。
破産手続開始決定を受けて復権を受けていない者は、共済事業を行う組合の役員になることができません(2項)。
役員の任期
第三十条理事の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。
2監事の任期は、四年以内において定款で定める期間とする。
3設立当時の役員の任期は、前二項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、一年を超えてはならない。
4前三項の規定は、定款によつて、役員の任期を任期中に終了する事業年度のうち最終のものに係る決算に関する通常総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
第30条
役員の任期は、理事は最長で2年(1項)、監事は最長で4年(2項)となっています。但し、設立当時の役員の任期は最長で1年となります(3項)。
役員に欠員を生じた場合の措置
第三十条の二この法律又は定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員(次項の一時役員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。
2前項に規定する場合において、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、行政庁は、組合員その他の利害関係人の請求により又は職権で、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる。
第30条の2
法律や定款で定めた役員の人数に足りない場合、退任した役員は新たに役員が選任されるまで役員としての権利義務を負います(1項)。
役員が欠けた場合で事務が遅滞するような場合には、組合員等の請求により行政庁が一時的に役員を選任することができます(2項)。
役員の職務及び権限等
第三十条の三理事は、法令、定款及び規約並びに総会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を行わなければならない。
2監事は、理事の職務の執行を監査する。この場合において、監事は、厚生労働省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
3理事については会社法第三百五十七条第一項、同法第三百六十条第三項の規定により読み替えて適用する同条第一項並びに同法第三百六十一条第一項及び第四項の規定を、監事については同法第三百四十三条第一項及び第二項、第三百四十五条第一項から第三項まで、第三百八十一条(第一項を除く。)、第三百八十二条、第三百八十三条第一項本文、第二項及び第三項、第三百八十四条、第三百八十五条、第三百八十六条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第二項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)、第三百八十七条並びに第三百八十八条の規定をそれぞれ準用する。この場合において、同法第三百四十五条第一項及び第二項中「会計参与」とあるのは「監事」と、同法第三百八十二条中「取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」とあるのは「理事会」と、同法第三百八十四条中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と、同法第三百八十八条中「監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)」とあり、及び「監査役設置会社」とあるのは「組合」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第30条の3
理事は、組合に対して忠実義務を負います(1項)。
監事は、理事の職務執行を監査する他、監査報告書を作成しなければなりません(2項)。
組合の理事・監事には多くの会社法の取締役・監査役の規定が準用されます。
取締役・監査役の報告義務、株主による取締役の行為の差止請求、報酬規定などが準用されています(3項)。
理事会の権限等
第三十条の四組合は、理事会を置かなければならない。
2理事会は、すべての理事で組織する。
3組合の業務の執行は、理事会が決する。
第30条の4
組合は、理事会を設置しなければならず(1項)、理事会は理事により構成され(2項)、組合の業務執行は理事会により決定されます(3項)。
理事会の決議
第三十条の五理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合以上)をもつて行う。
2前項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
3理事会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもつて作成されているときは、出席した理事及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4前項の議事録が電磁的記録をもつて作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、厚生労働省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5理事会の決議に参加した理事であつて第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
6理事会の招集については、会社法第三百六十六条及び第三百六十八条の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第30条の5
理事会の定足数は過半数であり(定款により加重することは可能)、決議は出席理事の過半数により決せられます(1項)。
特別利害関係を有する理事は議決に加わることができません(2項)。
理事会の議事については、議事録を作成し出席した理事・監事が署名押印する必要があります(3項)。
理事会に出席した理事が議事録に異議をとどめない場合、決議に賛成したものとみなされます(5項)
理事会の決議の省略
第三十条の六組合は、理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は、当該提案を可決する旨の理事会の決議があつたものとみなす旨を定款で定めることができる。
第30条の6
組合の定款に定めることにより、理事会の決議事項について、理事全員が書面等により同意した場合には、理事会の決議があったものとみなすことができます。
理事会の議事録
第三十条の七組合は、理事会の日(前条の規定により理事会の決議があつたものとみなされた日を含む。次項において同じ。)から十年間、第三十条の五第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその主たる事務所に備え置かなければならない。
2組合は、理事会の日から五年間、議事録等の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録等が電磁的記録をもつて作成されている場合であつて、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応ずることを可能とするための措置として厚生労働省令で定めるものをとつているときは、この限りでない。
3組合員は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、組合は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
- 一議事録等が書面をもつて作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
- 二議事録等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4組合の債権者は、役員の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、組合に対し、議事録等について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5裁判所は、前項の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、組合又はその子会社(第二十八条第五項に規定する子会社をいう。以下同じ。)に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、前項の許可をすることができない。
6第四項の許可については、会社法第八百六十八条第一項、第八百六十九条、第八百七十条第二項(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十条の二、第八百七十一条本文、第八百七十二条(第五号に係る部分に限る。)、第八百七十二条の二、第八百七十三条本文、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第30条の7
組合は、理事会の議事録を本店に10年間、支店に5年間備え置く必要があります(1項・2項)。但し、支店については電磁的記録に代えることができます。
組合員は、組合に対し、議事録の閲覧謄写を請求することができます(3項)。
組合の債権者が議事録の閲覧謄写請求をするには裁判所の許可が必要です(4項)。
理事会への報告の省略
第三十条の八理事又は監事が理事及び監事の全員に対して理事会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を理事会へ報告することを要しない。
第30条の8
理事及び監事の全員に対し理事会への報告事項を通知すれば、理事会への報告を省略することができます。
代表理事
第三十条の九理事会は、理事の中から組合を代表する理事(以下この章において「代表理事」という。)を選定しなければならない。
2代表理事は、組合の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
3前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4代表理事は、定款又は総会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
5代表理事については、第三十条の二並びに会社法第三百五十条及び第三百五十四条の規定を準用する。
第30条の9
理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければならず(1項)。
代表理事は、組合の業務に関し一切の権限を有し(2項)、その権限に加えた制限は善意の第三者に対抗できません(3項)。
また、組合は、代表者の行為により第三者に損害が生じた場合には損害賠償責任を負い、また表見代表理事についても責任を負います(5項)。
役員の兼職禁止
第三十一条監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。
第31条
組合の理事又は使用人は、その組合の監事になることはできません。
理事の自己契約等
第三十一条の二理事は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
- 一理事が自己又は第三者のために組合と取引をしようとするとき。
- 二組合が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において組合と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。
2民法(明治二十九年法律第八十九号)第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第一号の取引については、適用しない。
3第一項各号の取引をした理事は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を理事会に報告しなければならない。
第31条の2
組合の理事は、自己又は第三者のために組合と取引をする場合や組合が理事の債務を保証する場合など組合との間で利益相反取引をするときは、理事会の承認を得る必要があります(1項)。
また、当該理事は、当該取引後に遅滞なく当該取引の重要な事実を理事会に報告する義務があります(3項)。
役員の組合に対する損害賠償責任
第三十一条の三役員は、その任務を怠つたときは、組合に対し、これによつて生じた損害を賠償する責任を負う。
2前項の任務を怠つてされた行為が理事会の決議に基づき行われたときは、その決議に賛成した理事は、その行為をしたものとみなす。
3第一項の責任は、総組合員の同意がなければ、免除することができない。
4前項の規定にかかわらず、第一項の責任は、当該役員が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から当該役員がその在職中に組合から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の一年間当たりの額に相当する額として厚生労働省令で定める方法により算定される額に、次の各号に掲げる役員の区分に応じ、当該各号に定める数を乗じて得た額を控除して得た額を限度として、総会の決議によつて免除することができる。
- 一代表理事 六
- 二代表理事以外の理事 四
- 三監事 二
5前項の場合には、理事は、同項の総会において次に掲げる事項を開示しなければならない。
- 一責任の原因となつた事実及び賠償の責任を負う額
- 二前項の規定により免除することができる額の限度及びその算定の根拠
- 三責任を免除すべき理由及び免除額
6理事は、第一項の責任の免除(理事の責任の免除に限る。)に関する議案を総会に提出するには、各監事の同意を得なければならない。
7第四項の決議があつた場合において、組合が当該決議後に同項の役員に対し退職慰労金その他の厚生労働省令で定める財産上の利益を与えるときは、総会の承認を受けなければならない。
第31条の3
組合の役員は、任務懈怠があった場合、組合に対し損害賠償責任を負います(1項)。
組合の役員の任務懈怠行為が理事会の決議に基づき行われた時は、その決議に賛成した理事も責任を負うことになります(2項)。
もっとも、総組合員の同意があれば上記の損害賠償責任を免除することができます(3項)。
また、損害賠償責任を負う役員が善意無重過失の場合には、総会の決議により損害賠償額を一部免除することができます(4項)。
役員の第三者に対する損害賠償責任
第三十一条の四役員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があつたときは、当該役員は、これによつて第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかつたことを証明したときは、この限りでない。
- 一理事 次に掲げる行為
イ第一項及び第二項の規定により作成すべきものに記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ロ虚偽の登記
ハ虚偽の公告
- 二監事 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
第31条の4
株式会社の役員と同様に組合の役員についても第三者に対する損害賠償責任が規定されています(1項)。
本条2項の事項については、役員側が「注意を怠らなかったこと」を証明しなければならないという形式となっており、立証責任が転換されています。
役員の連帯責任
第三十一条の五役員が組合又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第31条の5
前2条における役員の損害賠償責任は、責任を負う役員間で連帯債務となります。
役員の責任を追及する訴え
第三十一条の六役員の責任を追及する訴えについては、会社法第七編第二章第二節(第八百四十七条第二項、第八百四十七条の二、第八百四十七条の三、第八百四十九条第二項、第三項第二号及び第三号並びに第六項から第十一項まで、第八百五十一条並びに第八百五十三条第一項第二号及び第三号を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第八百四十七条第一項及び第四項中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と、同法第八百五十条第四項中「第五十五条、第百二条の二第二項、第百三条第三項、第百二十条第五項、第二百十三条の二第二項、第二百八十六条の二第二項、第四百二十四条(第四百八十六条第四項において準用する場合を含む。)、第四百六十二条第三項(同項ただし書に規定する分配可能額を超えない部分について負う義務に係る部分に限る。)、第四百六十四条第二項及び第四百六十五条第二項」とあるのは「消費生活協同組合法第三十一条の三第三項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第31条の6
役員の責任を追及する訴えについては、会社法の責任追及等の訴えの規定が多く準用されています。
決算関係書類等の作成等
第三十一条の七組合は、厚生労働省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
2組合は、厚生労働省令で定めるところにより、各事業年度に係る決算関係書類(貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案をいう。以下同じ。)及び事業報告書並びにこれらの附属明細書を作成しなければならない。
3決算関係書類及び事業報告書並びにこれらの附属明細書は、電磁的記録をもつて作成することができる。
4組合は、決算関係書類を作成した時から十年間、当該決算関係書類及びその附属明細書を保存しなければならない。
5第二項の決算関係書類及び事業報告書並びにこれらの附属明細書は、厚生労働省令で定めるところにより、監事の監査を受けなければならない。
6前項の規定により監事の監査を受けた決算関係書類及び事業報告書並びにこれらの附属明細書(次条第一項の適用がある場合にあつては、同項の監査を受けたもの)は、理事会の承認を受けなければならない。
7理事は、通常総会の招集の通知に際して、厚生労働省令で定めるところにより、組合員に対し、前項の承認を受けた決算関係書類及び事業報告書(監査報告及び次条第一項の適用がある場合にあつては、会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。
8理事は、監事の意見を記載した書面又はこれに記載すべき事項を記録した電磁的記録を添付して決算関係書類及び事業報告書を通常総会に提出し、又は提供し、その承認を求めなければならない。
9組合は、各事業年度に係る決算関係書類等(決算関係書類及び事業報告書並びにこれらの附属明細書(監査報告及び次条第一項の適用がある場合にあつては、会計監査報告を含む。)をいう。以下この条において同じ。)を、通常総会の会日の二週間前の日から五年間、その主たる事務所に備え置かなければならない。
10組合は、決算関係書類等の写しを、通常総会の会日の二週間前の日から三年間、その従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、決算関係書類等が電磁的記録で作成されている場合であつて、従たる事務所における次項第三号及び第四号に掲げる請求に応ずることを可能とするための措置として厚生労働省令で定めるものをとつているときは、この限りでない。
11組合員及び組合の債権者は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、組合は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
- 一決算関係書類等が書面をもつて作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
- 二前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
- 三決算関係書類等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
- 四前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて組合の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
12組合員及び組合の債権者は、前項第二号又は第四号に掲げる請求をするには、組合の定めた費用を支払わなければならない。
第31条の7
組合は、組合成立時の貸借対照表を作成する義務があります(1項)。
また、組合は、各事業年度の決算関係書類(貸借対照表、損益計算書等)に加え、事業報告書並びに付属明細書の作成義務があります(2項)。
決算関係書類は10年間保存する必要があります(4項)。
決算関係書類は監事の監査及び理事会の承認を受ける必要があります(5項・6項)。
各事業年度の決算関係書類等は、通常総会の日の2週間前から5年間、主たる事務所に備え置く必要があり、同様に写しを3年間、従たる事務所に備え置く必要があります(9項・10項)。
組合員及び組合の債権者は、営業時間内ならいつでも決算関係書類の閲覧等の請求ができます(11項)。
第三十一条の八共済事業を行う消費生活協同組合であつてその事業の規模が政令で定める基準を超えるもの又は共済事業を行う連合会は、決算関係書類及びその附属明細書について、監事の監査のほか、厚生労働省令で定めるところにより、会計監査人の監査を受けなければならない。
2前項に規定する会計監査人の監査を要する組合については、会社法第四百三十九条及び第四百四十四条(第三項を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第四百三十九条並びに第四百四十四条第一項、第四項及び第六項中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と、同条第一項中「その子会社」とあるのは「その子会社等(消費生活協同組合法第五十三条の二第二項に規定する子会社等をいう。)」と、「作成することができる」とあるのは「作成しなければならない」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3会計監査人については、第二十九条の二並びに会社法第三百二十九条第一項、第三百三十七条、第三百三十八条第一項及び第二項、第三百三十九条、第三百四十条第一項から第三項まで、第三百四十四条第一項及び第二項、第三百四十五条第一項から第三項まで、第三百九十六条第一項から第五項まで、第三百九十七条第一項及び第二項、第三百九十八条第一項及び第二項並びに第三百九十九条第一項の規定を準用する。この場合において、同法第三百四十五条第一項及び第二項中「会計参与」とあるのは「会計監査人」と、同法第三百九十六条第一項及び第二項第二号中「法務省令」とあるのは「厚生労働省令」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
4会計監査人の責任については、第三十一条の三から第三十一条の五までの規定を準用する。この場合において、第三十一条の三第四項第三号及び第三十一条の四第二項第二号中「監事」とあるのは「監事又は会計監査人」と、同号中「監査報告」とあるのは「監査報告又は会計監査報告」と、第三十一条の五中「役員」とあるのは「役員又は会計監査人」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
5会計監査人の責任を追及する訴えについては、第三十一条の六の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第31条の8
共済事業を行う消費生活協同組合は、決算関係書類及び附属明細書について、監事の監査の他に会計監査人の監査を受ける必要があります(1項)。
第三十一条の九会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監事は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
2前項の一時会計監査人の職務を行うべき者については、会社法第三百三十七条及び第三百四十条第一項から第三項までの規定を準用する。
第31条の9
会計監査人が欠けた場合で遅滞なく会計監査人が選任されない時は、監事は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければなりません(1項)。
会計帳簿等の作成等
第三十二条組合は、厚生労働省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。
2組合は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
3組合員は、総組合員の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の同意を得て、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、組合は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
- 一会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
- 二会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
第32条
組合は、適時に正確な会計帳簿を作成する義務があります(1項)。
また、組合は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間の保存義務があります(2項)。
会計帳簿について、組合の債権者は閲覧謄写請求できず、組合員も総組合員の100分の3以上の同意を得た場合に初めて会計帳簿の閲覧謄写を請求することができます。
役員の解任
第三十三条組合員は、総組合員の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の連署をもつて、役員の解任を請求することができるものとし、その請求につき総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その職を失う。
2前項の規定による解任の請求は、解任の理由を記載した書面を組合に提出してしなければならない。
3第一項の規定による解任の請求があつた場合には、理事は、その請求を総会の議に付し、かつ、総会の会日から十日前までに、その請求に係る役員に前項の規定による書面を送付し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
4前項の場合については、第三十五条第二項及び第三十六条第二項の規定を準用する。この場合において、第三十五条第二項中「組合員が総組合員の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事会に提出して総会の招集を請求したとき」とあるのは「第三十三条第一項の規定による役員の解任の請求があつた場合」と、第三十六条第二項中「理事の職務を行う者がないとき、又は前条第二項の請求があつた場合において、」とあるのは「第三十三条第一項の規定による役員の解任の請求があつた場合において、理事の職務を行う者がないとき又は」と読み替えるものとする。
第33条
組合員は、総組合員の5分の1の連署をもって、役員の解任を請求することができ、その請求につき総会において出席者の過半数が同意した場合に当該役員は失職します(1項)。
総会の招集
第三十四条通常総会は、定款の定めるところにより、毎事業年度一回招集しなければならない。
第34条
通常総会は、毎事業年度1回招集しなければなりません。
第三十五条臨時総会は、必要があるときは、定款の定めるところにより、いつでも招集することができる。
2組合員が総組合員の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事会に提出して総会の招集を請求したときは、理事会は、その請求のあつた日から二十日以内に臨時総会を招集すべきことを決しなければならない。
3前項の場合において、電磁的方法により議決権又は選挙権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、当該書面に記載すべき事項及び理由を当該電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該組合員は、当該書面を提出したものとみなす。
4前項前段の電磁的方法(厚生労働省令で定める方法を除く。)により行われた当該書面に記載すべき事項及び理由の提供は、理事会の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該理事会に到達したものとみなす。
第35条
組合の臨時総会は、必要があれば定款の定めに従い、いつでも招集できます(1項)。
また、総組合員の5分の1以上の同意を得れば、組合員も総会の招集請求ができます。この場合、理事会は請求のあった日から20日以内に臨時総会を招集すべきことを決定しなければなりません(2項)。
第三十六条総会は、この法律に別段の定めがある場合を除き、理事が招集する。
2理事の職務を行う者がないとき、又は前条第二項の請求があつた場合において、理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
第36条
組合の臨時総会は、必要があれば定款の定めに従い、いつでも招集できます(1項)。 また、総組合員の5分の1以上の同意を得れば、組合員も総会の招集請求ができます。この場合、理事会は請求のあった日から20日以内に臨時総会を招集すべきことを決定しなければなりません(2項)。
総会招集の手続
第三十七条理事(理事以外が総会を招集する場合にあつては、その者。次条において「総会招集者」という。)は、総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一総会の日時及び場所
- 二総会の目的である事項があるときは、当該事項
- 三前二号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2前項各号に掲げる事項の決定は、前条第二項(第三十三条第四項において準用する場合を含む。)又は第四十七条の二第四項の規定により監事が総会を招集するときを除き、理事会の決議によらなければならない。
第37条
理事は、総会を招集する場合、総会の日時、場所、総会の目的である事項のほか生協法施行規則第155条に定める事項を定めなければなりません(1項)。
1項の事項の決定は監事が総会を招集する場合を除き、理事会の決議が必要です(2項)。
第三十八条総会を招集するには、総会招集者は、その総会の会日の十日前までに、組合員に対して書面をもつてその通知を発しなければならない。
2総会招集者は、前項の書面による通知の発出に代えて、厚生労働省令で定めるところにより、組合員の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該総会招集者は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
3前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
第38条
総会を収集するには総会期日の10日前までに組合員対し、招集通知を発する必要があります(1項)。
また、招集通知は組合員の承諾があれば電磁的方法により通知することができ、これらの招集通知には前条の決定事項を記載する必要があります(2項・3項)。
通知又は催告
第三十九条組合の組合員に対してする通知又は催告は、組合員名簿に記載し、又は記録したその者の住所に、その者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を組合に通知したときは、その場所又は連絡先にあてて発すれば足りる。
2前項の通知又は催告は、通常到達すべき時に到達したものとみなす。
第39条
組合員に対する通知・催告は、組合員名簿の住所に発すれば足り、住所変更等による不達のリスクは組合員が負うことになります(1項)。
また、組合員に対する通知・催告を組合員が拒否した場合でも通常到達すべき時に到達されたものとみなされます(2項)。
総会の議決事項
第四十条次の事項は、総会の議決を経なければならない。
- 一定款の変更
- 二規約の設定、変更及び廃止
- 三組合の解散及び合併
- 四毎事業年度の事業計画の設定及び変更
- 五収支予算
- 六出資一口の金額の減少
- 七事業報告書並びに決算関係書類その他組合の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして厚生労働省令で定めるもの
- 八組合員の除名及び役員の解任
- 九連合会への加入又は脱退
- 十その他定款で定める事項
2総会においては、第三十八条第一項又は第二項の規定により、あらかじめ通知した事項についてのみ議決をすることができる。ただし、定款に別段の定めがあるときは、この限りでない。
3規約の変更のうち、軽微な事項その他の厚生労働省令で定める事項に係るものについては、第一項の規定にかかわらず、定款で、総会の議決を経ることを要しないものとすることができる。この場合においては、総会の議決を経ることを要しない事項の範囲及び当該変更の内容の組合員に対する通知、公告その他の周知の方法を定款で定めなければならない。
4定款の変更(厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
5第二十六条の三第一項に規定する規約の設定、変更又は廃止は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
6第二十六条の四に規定する規約の設定、変更又は廃止は、行政庁の認可を受けなければ、その効力を生じない。
7共済事業に係る第四項及び第五項の認可並びに貸付事業に係る第四項及び前項の認可については第五十八条の規定を、これらの事業以外の事業に係る第四項の認可については同条及び第五十九条の規定を準用する。
8組合は、第四項の厚生労働省令で定める事項に係る定款の変更をしたときは、遅滞なくその旨を行政庁に届け出なければならない。
第40条
定款の変更や規約の設定変更、組合員の除名及び役員の解任等は総会の議決事項です(1項)。
また、定款に別段の定めがない限り、組合員に発した招集通知に記載した事項しか議決をすることができません(2項)。
規約の変更のうち、軽微な事項については、総会の議決を不要とする事項の範囲などを定款に定めれば、総会の議決を不要とすることができます(3項)。
定款、共済事業規約、貸付事業規約の設定、変更、廃止は行政庁の許可が必要です(4項~6項)。
総会の通常議決方法
第四十一条総会の議事は、この法律又は定款若しくは規約に特別の定めのある場合を除いて、出席者の議決権の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
2議長は、総会において、そのつど、これを選任する。
3議長は、組合員として総会の議決に加わる権利を有しない。
第41条
総会は、原則として出席者の議決権の過半数で決し、可否同数の場合は議長が決します(1項)。
議長は、総会の都度選任され、総会の議決権はございません(2項・3項)。
総会の特別議決方法
第四十二条次の事項は、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
- 一定款の変更
- 二組合の解散及び合併
- 三組合員の除名
- 四事業の全部の譲渡、第五十条の二第一項の規定による共済事業の全部の譲渡及び同条第二項の規定による共済契約の全部の移転
- 五第三十一条の三第四項(第三十一条の八第四項において準用する場合を含む。)の規定による責任の免除
第42条
定款の変更や組合員の除名などについては、総組合員の半数以上が出席し、その議決権の3分の2以上の議決(特別決議)が必要です。
役員の説明義務
第四十三条役員は、総会において、組合員から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより組合員の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
第43条
役員は、総会において、組合員から特定の事項について説明を求められた場合には説明をする義務があります。
ただし、総会の目的である事項に関係しない事項の場合、組合員の共同の利益を著しく害する場合、説明するために調査が必要な場合、他の組合員の権利を侵害する場合、実質的に同一の事項について繰り返し説明を求める場合などは義務が免除されています。
延期又は続行の決議
第四十四条総会においてその延期又は続行について決議があつた場合には、第三十七条及び第三十八条の規定は、適用しない。
第44条
総会において延期又は続行があった場合には、総会招集手続は省略されます。
総会の議事録
第四十五条総会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2組合は、総会の会日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。
3組合は、総会の会日から五年間、第一項の議事録の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもつて作成されている場合であつて、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応ずることを可能とするための措置として厚生労働省令で定めるものをとつているときは、この限りでない。
4組合員及び組合の債権者は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、組合は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
- 一第一項の議事録が書面をもつて作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
- 二第一項の議事録が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
第45条
総会の議事ついては、議事録を作成しなければならず(1項)、主たる事務所には10年間、従たる事務所には5年間保管が必要です(2項・3項)。
組合員及び組合の債権者は、営業時間内ならいつでも、議事録の閲覧謄写請求ができます(4項)。
総会の決議の不存在若しくは無効の確認又は取消しの訴え
第四十六条総会の決議の不存在若しくは無効の確認又は取消しの訴えについては、会社法第八百三十条、第八百三十一条、第八百三十四条(第十六号及び第十七号に係る部分に限る。)、第八百三十五条第一項、第八百三十六条第一項及び第三項、第八百三十七条、第八百三十八条並びに第八百四十六条の規定を準用する。この場合において、同法第八百三十一条第一項中「株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)」とあるのは、「組合員、理事、監事又は清算人」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第46条
総会の決議の不存在若しくは無効の確認は、訴えをもってのみ請求することができます。
また、総会決議の取消しについては、総会の決議の日から3ヶ月以内に決議の方法・内容が定款に違反するなど一定の事由がある場合に、組合員、理事、監事、清算人が訴えをもってのみ請求することができます。
その他、被告が当該組合になること、管轄裁判所が組合の本店所在地を管轄する地方裁判所になるなど会社法の規定が多く準用されています。
総代会
第四十七条五百人以上の組合員を有する組合は、定款の定めるところにより、総会に代わるべき総代会を設けることができる。
2総代は、定款の定めるところにより、組合員のうちからこれを選挙する。
3総代の定数は、その選挙の時における組合員の総数の十分の一(組合員の総数が千人を超える組合にあつては、百人)以上でなければならない。
4総代の選挙については、第二十八条第七項及び第八項の規定を準用する。
5総代の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
6総代会には、総会に関する規定を準用する。この場合において、第十七条第二項ただし書中「組合員又は組合員と同一の世帯に属する者」とあるのは「組合員」と、同条第五項中「十人」とあるのは「三人」と読み替えるものとする。
7総代会においては、前項の規定にかかわらず、総代の選挙をすることができない。
第47条
500人以上の組合員を有する組合は、総会の代わりに総代会を設けることができます(1項)。
総代は組合員の中から選挙され(2項)、その定数は組合員総数の10分の1以上または100人でなければなりません(3項)。
総代の任期は3年以内であり(5項)、総代会で総代の選挙をすることはできません(7項)。
第四十七条の二総代会において組合の解散又は合併の議決があつたときは、理事は、当該議決の日から十日以内に、組合員に当該議決の内容を通知しなければならない。
2組合員が総組合員の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあつては、その割合)以上の同意を得て、会議の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を理事会に提出して、総会の招集を請求したときは、理事会は、その請求のあつた日から三週間以内に総会を招集すべきことを決しなければならない。この場合において、書面の提出は、前項の通知に係る事項についての総代会の議決の日から一月以内にしなければならない。
3前項の規定による書面の提出については、第三十五条第三項及び第四項の規定を準用する。
4第二項の請求の日から二週間以内に理事が正当な理由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
5第二項又は前項の総会において第一項の通知に係る事項を承認しなかつた場合には、当該事項についての総代会の議決は、その効力を失う。
第47条の2
総代会において組合の解散又は合併の決議をした場合、理事は10日以内に組合員に通知しなければなりません(1項)。但し、総会において総代会の決議について承認されなかった場合には、総代会の議決は効力を失います(5項)。
総組合員の5分の1以上の同意を得て組合員が理事会に対し総会の招集を請求した場合、理事会は3週間以内に総会を招集すべき決定をしなければなりません(2項)。
この場合、2週間以内に理事が正当な理由がないにも拘わらず、総会招集の手続をしないときは監事が総会を招集しなければなりません(4項)。
家族の発言権
第四十八条消費生活協同組合の組合員と同一の世帯に属する者は、定款の定めるところにより、総会に出席し発言することができる。ただし、第十七条第二項の規定による場合を除くほか、議決権及び選挙権を有しない。
第48条
組合員と同一の世帯に属する者は、定款に定めがあれば、総会に出席して発言することはできますが、議決権及び選挙権はございません。
出資一口の金額の減少の手続
第四十九条組合は、出資一口の金額の減少を議決したときは、その議決の日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作成し、かつ、これらをその主たる事務所に備え置かなければならない。
2組合員及び組合の債権者は、組合に対して、その業務取扱時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、組合は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
- 一前項の財産目録及び貸借対照表が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
- 二前項の財産目録及び貸借対照表が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
3組合は、第一項の期間内に、債権者に対して、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(政令で定めるものを除く。)には、各別にこれを催告しなければならない。
- 一出資一口の金額の減少の内容
- 二債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
4前項第二号の一定の期間は、一月を下つてはならない。
5第三項の規定にかかわらず、組合が同項の規定による公告を、官報のほか、第二十六条第三項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号のいずれかに掲げる公告方法によりするときは、第三項の規定による各別の催告は、することを要しない。
第49条
組合は、出資一口の金額を減少することができますが、財産目録と貸借対照表を作成、保管が必要となります(1項)。また、官報公告等の債権者保護手続が必要となります(3項)。
組合員及び組合の債権者は、営業時間であれば、いつでも上記の財産目録と貸借対照表を閲覧できます(2項)。
第四十九条の二債権者が前条第三項第二号の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2債権者が異議を述べたときは、組合は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として、信託会社等(信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。)及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、出資一口の金額の減少をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第49条の2
組合の債権者が出資一口の金額の減少に対し、一定期間内に異議を述べなかったときは、金額の減少に承認したものとみなされます(1項)。
また、債権者が異議を述べたときは、債権者を害するおそれが無いとはいえない場合、組合は、弁済か相当の担保を差し出すか、あるいは、相当の財産を信託しなければなりません(2項)。
出資一口の金額の減少の無効の訴え
第五十条組合の出資一口の金額の減少の無効の訴えについては、会社法第八百二十八条第一項(第五号に係る部分に限る。)及び第二項(第五号に係る部分に限る。)、第八百三十四条(第五号に係る部分に限る。)、第八百三十五条第一項、第八百三十六条から第八百三十九条まで並びに第八百四十六条の規定を準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第50条
組合の出資一口の金額の減少の無効の訴えについては、会社法の規定を準用します。
共済事業の譲渡等
第五十条の二共済事業を行う組合が共済事業(この事業に附帯する事業を含む。以下この条において同じ。)の全部又は一部を譲渡するには、総会の議決によらなければならない。
2共済事業を行う組合は、総会の議決により契約をもつて責任準備金の算出の基礎が同じである共済契約の全部を包括して、共済事業を行う他の組合に移転することができる。
3共済事業を行う組合は、前項に規定する共済契約を移転する契約をもつて共済事業に係る財産を移転することを定めることができる。
4第一項に規定する共済事業の全部又は一部の譲渡及び前項に規定する共済事業に係る財産の移転については、第四十九条から前条までの規定を準用する。
5第一項の規定により組合がその共済事業の全部若しくは一部を譲渡したとき、又は第二項の規定により組合がその共済事業に係る共済契約の全部を包括して移転したときは、遅滞なく、その旨を行政庁に届け出なければならない。
第50条の2
組合が共済事業を譲渡するには、総会の議決が必要です(1項)が、移転先は共済事業を行う組合に限られます(2項)。ただ、共済事業を譲渡する場合、共済事業に係る財産も共に移転することができます(3項)。
また、共済事業の譲渡や共済契約を包括移転した場合、行政庁への届出が必要となります(5項)。
区分経理
第五十条の三共済事業を行う組合は、共済事業に係る経理とその他の経理とを区分しなければならない。
2共済事業のうち責任共済等の事業を行う組合は、当該事業に係る経理とその他の経理とを区分しなければならない。
3第十条第一項第六号又は第七号の事業のうち、病院又は診療所を営む事業、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第四十一条第一項に規定する指定居宅サービス事業者の指定を受けて実施する事業その他の厚生労働省令で定める事業を行う組合は、当該事業(当該事業から生じた利益をその財源に充てることが適当な事業であつて厚生労働省令で定めるものを併せ行う場合には、当該併せ行う事業を含む。第五十一条の二において「医療福祉等事業」という。)に係る経理とその他の経理とを区分しなければならない。
第50条の3
組合は共済事業に係る経理とその他の経理を分けて処理しなければならず(1項)、責任共済等の事業は、さらに区分して経理をしなければなりません(2項)。
共済事業に係る経理の他の経理への資金運用等の禁止
第五十条の四組合は、共済事業に係る経理からそれ以外の事業に係る経理へ資金を運用し、又は共済事業に係る経理に属する資産を担保に供してそれ以外の事業に係る経理に属する資金を調達してはならない。ただし、行政庁の承認を受けた場合は、この限りでない。
第50条の4
組合は、厚生労働大臣の承認を得ない限り、共済事業に係る資金を他の事業のために運用したり、担保に供したりすることはできません(1項)。
健全性の基準
第五十条の五行政庁は、共済事業を行う消費生活協同組合であつてその組合員の総数が政令で定める基準を超えるもの又は共済事業を行う連合会の共済事業の健全な運営に資するため、次に掲げる額を用いて、当該組合の経営の健全性を判断するための基準として共済金、返戻金その他の給付金(以下「共済金等」という。)の支払能力の充実の状況が適当であるかどうかの基準その他の基準を定めることができる。
- 一出資の総額、準備金の額その他の厚生労働省令で定めるものの額を用いて厚生労働省令で定めるところにより計算した額
- 二共済契約に係る共済事故の発生その他の理由により発生し得る危険であつて通常の予測を超えるものに対応する額として厚生労働省令で定めるところにより計算した額
第50条の5
行政庁は、共済事業を行う組合であって一定の規模を有する組合に対しては、支払能力の充実に関し一定の基準を設けることができます。
共済事業の健全かつ適切な運営の確保
第五十条の六共済事業を行う組合は、この法律及び他の法律に定めるもののほか、厚生労働省令で定めるところにより、その共済事業に係る重要な事項の利用者への説明、その共済事業に関して取得した利用者に関する情報の適正な取扱い、その共済事業を第三者に委託する場合における当該共済事業の的確な遂行その他の共済事業の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならない。
第50条の6
共済事業を行う組合は、外国通貨による共済契約については、外国為替相場により共済金等の額が下回る可能性があること、解約返戻金がない共済契約については、その旨等省令で定められている事項を利用者に説明等しなければなりません。
責任準備金
第五十条の七共済事業を行う組合は、毎事業年度末において、その事業の種類ごとに、共済契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、厚生労働省令で定めるところにより、責任準備金を積み立てなければならない。
第50条の7
共済事業を行う組合は、共済契約に基づく債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てなければなりません。
支払備金
第五十条の八共済事業を行う組合は、毎事業年度末において、共済金等で、共済契約に基づいて支払義務が発生したものその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるものがある場合であつて、共済金等の支出として計上していないものがあるときは、厚生労働省令で定めるところにより、支払備金を積み立てなければならない。
第50条の8
共済契約に基づいて支払い義務が発生した共済金等について、支出として計上していないものがある時は、必要な金額を積み立てなければなりません。
価格変動準備金
第五十条の九共済事業を行う組合は、毎事業年度末において、その所有する資産で第五十条の三第一項の規定により共済事業に係るものとして区分された経理に属するもののうちに、価格変動による損失が生じ得るものとして厚生労働省令で定める資産(次項において「特定資産」という。)があるときは、厚生労働省令で定めるところにより、価格変動準備金を積み立てなければならない。ただし、その全部又は一部の金額について積立てをしないことについて行政庁の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。
2前項の価格変動準備金は、特定資産の売買等による損失(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による損失並びに償還損をいう。)の額が特定資産の売買等による利益(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による利益並びに償還益をいう。)の額を超える場合においてその差額のてん補に充てる場合を除いては、取り崩してはならない。ただし、行政庁の認可を受けたときは、この限りでない。
第50条の9
組合が保有する株式や債券などで価格変動により損失が生じ得るものがあるときは、一定の額を価格変動準備金として積み立てなければなりません。
契約者割戻し
第五十条の十共済事業を行う組合は、契約者割戻し(共済契約者に対し、共済掛金及び共済掛金として収受する金銭を運用することによつて得られる収益のうち、共済金等の支払、事業費の支出その他の費用に充てられないものの全部又は一部を分配することを第二十六条の三第一項の規約で定めている場合において、その分配をいう。以下同じ。)を行う場合は、公正かつ衡平な分配をするための基準として厚生労働省令で定める基準に従い、行わなければならない。
2契約者割戻しに充てるための準備金の積立てその他契約者割戻しに関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第50条の10
組合が契約者割戻しを行う場合、共済金及びその運用利益から共済金等の支払いなど費用等を控除した金額に応じて分配する方法等、厚生労働省令で定める基準により分配しなければなりません。
または、契約者割戻しを行う組合は、契約者割戻準備金を積み立てなければならず、契約者割戻準備金の積立額については、その上限が定められています。
共済計理人の選任等
第五十条の十一共済事業を行う組合(厚生労働省令で定める要件に該当する組合を除く。)は、理事会において共済計理人を選任し、共済掛金の算出方法その他の事項に係る共済の数理に関する事項として厚生労働省令で定めるものに関与させなければならない。
2共済計理人は、共済の数理に関して必要な知識及び経験を有する者として厚生労働省令で定める要件に該当する者でなければならない。
第50条の11
共済事業を行う組合は、共済計理人を選任して、共済の数理に関する事項(共済掛金の算出方法、責任準備金の算出方法など)に関与させなければなりません(1項)。
共済計理人は、日本アクチュアリー会の正会員や日本年金数理人会の正会員など数理に関し一定の知識及び経験を有する者でなければなりません(2項)。
第五十条の十二共済計理人は、毎事業年度末において、次に掲げる事項について、厚生労働省令で定めるところにより確認し、その結果を記載した意見書を理事会に提出しなければならない。
- 一厚生労働省令で定める共済契約に係る責任準備金が健全な共済の数理に基づいて積み立てられているかどうか。
- 二契約者割戻しが公正かつ衡平に行われているかどうか。
- 三その他厚生労働省令で定める事項
2共済計理人は、前項の意見書を理事会に提出したときは、遅滞なく、その写しを行政庁に提出しなければならない。
3行政庁は、共済計理人に対し、前項の意見書の写しについて説明を求め、その他その職務に属する事項について意見を求めることができる。
4前三項に定めるもののほか、第一項の意見書に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第50条の12
共済計理人は、責任準備金が健全な共済の数理に基づいて積み立てられているか、契約者割戻しが公正かつ衡平に行われているかなどを確認して、意見書を理事会に提出しなければなりません(1項)。
また、上記の意見書の写しを行政庁にも提出する必要があります(2項)。
第五十条の十三行政庁は、共済計理人が、この法律又はこの法律に基づいてする行政庁の処分に違反したときは、当該組合に対し、その解任を命ずることができる。
第50条の13
行政庁は、共済計理人が行政庁の処分に違反した場合、組合に対し、その共済計理人の解任を命ずることができます。
資産運用の方法等
第五十条の十四共済事業を行う組合は、その資産のうち第五十条の三第一項の規定により共済事業に係るものとして区分された経理に属するものを厚生労働省令で定める方法及び割合以外の方法及び割合で運用してはならない。ただし、行政庁の承認を受けたときは、この限りでない。
第50条の14
組合は、資産運用にするにあたって、事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的に運用しなければなりません。
そして、長期共済事業を実施する組合と短期共済事業のみを実施する組合に分けて資産運用基準が規則に定められています。
貸付事業を行う組合の純資産額
第五十一条貸付事業を行う組合(職域による消費生活協同組合であつてその組合員の総数が政令で定める基準を超えないものを除く。)の純資産額は、当該貸付事業を適正に実施するため必要かつ適当なものとして政令で定める金額以上でなければならない。
2前項の政令で定める金額は、五千万円を下回つてはならない。
3第一項の純資産額は、厚生労働省令で定めるところにより計算するものとする。
第51条
貸付事業を行う組合で組合員の総数が1000人を超える場合、純資産額は5000万円以上でなければなりません(1項)。
純資産額は、最終の貸借対照表において、純資産の部の合計額とされています(2項)。
医療福祉等事業に関する積立金
第五十一条の二組合は、医療福祉等事業に関し、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2前項の積立金は、医療福祉等事業の費用に充てる場合を除いては、取り崩してはならない。
第51条の2
組合が医療福祉等事業に関し利益が生じたときは、繰越損失に補填してもなお残余がある時は、積立金として整理が必要です(1項)。
この積立金は、医療福祉等事業の費用に充てる以外は取り崩しができません(2項)。
会計の原則
第五十一条の三組合の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
第51条の3
組合の会計は、公正妥当と認められる会計慣行に従う必要があります。
剰余金の積立て等
第五十一条の四組合は、定款で定める額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の十分の一(共済事業を行う組合にあつては、五分の一)以上を準備金として積み立てなければならない。
2前項の定款で定める準備金の額は、出資総額の二分の一(共済事業を行う組合にあつては、出資総額)を下つてはならない。
3第一項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いてこれを取り崩してはならない。
4組合は、毎事業年度の剰余金の二十分の一以上を翌事業年度に繰り越さなければならない。
5前項の規定により繰り越した剰余金は、第十条第一項第五号の事業の費用に充てるものとする。ただし、その剰余金の全部又は一部を、組合員が相互の協力の下に地域において行う子育て支援、家事に係る援助その他の活動であつて組合員の生活の改善及び文化の向上に資するものを助成する事業の費用に充てることを妨げない。
第51条の4
組合は、定款で定める額に達するまで、毎年の剰余金の10分の1(共済事業を行う組合では5分の1)以上を準備金として積立てなければなりません(1項)。
この準備金の額は、出資総額の2分の1(共済事業を行う組合では出資総額)を下回ることができません(2項)。
そして、この準備金は、損失填補以外に取崩すことはできません(3項)。
また、組合は、毎年剰余金の20分の1以上を翌年度に繰り越さなければなりません(4項)。
この繰り越した剰余金は、「組合員及び組合従業員の組合事業に関する知識の向上を図る事業」または、「組合員の生活の改善及び文化の向上に資する助成事業」などにしか充当することができません(5項)。
剰余金の割戻し
第五十二条組合は、損失をてん補し、前条に定める金額を控除した後でなければ剰余金を割り戻してはならない。
2剰余金の割戻しは、定款の定めるところにより、組合員の組合事業の利用分量又は払い込んだ出資額に応ずるほか、これを行つてはならない。
3組合が組合員の利用分量に応じて剰余金の割戻しを行うときは、事業別にその率を定めることができる。
4組合が払い込んだ出資額に応じて剰余金の割戻しを行うときは、年一割を超えてはならない。
第52条
組合は、損失を填補し、準備金の積立て、剰余金の繰越しをした後でなければ、剰余金を割戻すことはできません(1項)。
剰余金の割戻は、組合員の組合事業の利用分量または払い込んだ出資額に応ずる方法でしか行えません(2項)。
そして、組合員の利用分量に応じて剰余金の割戻しをする場合、事業別にその率を定めることができ(3項)、払い込んだ出資額に応じて剰余金の割戻しを行う場合、年1割を超えてはできません(4項)。
剰余金の払込充当
第五十三条組合は、組合員が期日の到来した出資の払込みを終えるまで、その組合員に割り戻すべき剰余金をその払込みに充てることができる。
第53条
組合は、組合員の出資の払込みが未了の場合、その組合員に割り戻すべき剰余金と相殺ができます。
業務及び財産の状況に関する説明書類の縦覧等
第五十三条の二共済事業を行う組合は、毎事業年度、業務及び財産の状況に関する事項として厚生労働省令で定めるものを記載した説明書類を作成し、当該組合の事務所(主として共済事業以外の事業の用に供される事務所その他の厚生労働省令で定める事務所を除く。以下この条において同じ。)に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
2前項の組合が子会社その他当該組合と厚生労働省令で定める特殊の関係にある者(以下「子会社等」という。)を有する場合には、当該組合は、毎事業年度、同項の説明書類のほか、当該組合及び当該子会社等の業務及び財産の状況に関する事項として厚生労働省令で定めるものを当該組合及び当該子会社等につき連結して記載した説明書類を作成し、当該組合の事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。
3前二項に規定する説明書類は、電磁的記録をもつて作成することができる。
4第一項又は第二項に規定する説明書類が電磁的記録をもつて作成されているときは、組合の事務所において、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置として厚生労働省令で定めるものをとることができる。この場合においては、これらの規定に規定する説明書類を、これらの規定により備え置き、公衆の縦覧に供したものとみなす。
5前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の説明書類を公衆の縦覧に供する期間その他これらの規定の適用に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
6第一項の組合は、同項又は第二項に規定する事項のほか、共済事業の利用者が当該組合及び当該子会社等の業務及び財産の状況を知るために参考となるべき事項の開示に努めなければならない。
第53条の2
共済事業を行う組合は、毎年、業務及び財産の状況に関する事項と組合の概況や直近の事業年度の事業の概況などを記載した説明書類を作成して事務所に備え置かなければなりません(1項)。
また、組合に子会社等がある場合には、子会社等の業務及び財産の状況に関する事項も備置く必要があります(2項)。
そして、この説明書類を電磁的記録で作成した場合(3項)には、電磁的方法により不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く必要があります(4項)。
財務基準
第五十三条の三第五十条の三から前条までに定めるもののほか、組合がその財務を適正に処理するために必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第53条の3
組合がその財務を適正に処理するために必要な事項は、省令で定められることとなっています。