相手方の会社に何度も請求書を送っているのですが、売買代金・・・
弁護士の回答
後々に備える意味も踏まえて多くの情報を聞き取り、合意した場合には書面化しましょう。
交渉による方法のメリット・デメリット
【メリット】
相手方の状況を具体的に聞いて、その状況に応じた柔軟な債権回収を図ることができます。
もっとも、相手方が交渉によって決められた支払いを滞らせたときなどに、裁判等の強制的な手段を採らざるを得ない場合もございます。その場合に備えて、相手方との交渉時には多くの情報を得るべきです。相手方に聞いておくべき情報の例は以下のとおりです。
①銀行口座(金融機関名、支店名、口座名義)
②所有不動産(名義、担保の有無)
③取引先(名称、所在地、業種、取引数量・取引金額)
④所有動産(換価できる価値がある物(機械類等)在庫商品の種類・保管場所)
⑤保証人候補(名前、住所地、財産)
これらの情報を得ることで、支払方法の合意時に、担保(保証・連帯保証、不動産担保、動産担保)を適宜設定して、債権回収の実効性を上げることができます。また、相手方が支払合意を守れなかったときには、仮差押えや強制執行の対象とすることもできます。
交渉によって、支払方法等について合意した場合には、書面にしてください。書面とすることによって、債権額等について証拠化でき、相手方には書面化による心理的強制力が生じることが期待でき、さらに、時効の中断事由ともなります。書面の名称は「覚書」「合意書」「念書」などで良く、特に決まりはございません。また、合意内容は、可能であれば公正証書にしてください。公正証書があれば、相手方が支払合意を守れなかったときに、別途訴訟等を行うことなく、相手方の財産の差し押さえ等の強制執行ができます。公正証書は、公証役場で作成することができます。もっとも、相手方が遠隔地にいる場合などには最低限メールやFAXで合意内容を残してください。メール等で合意内容を残す場合には、合意内容について相手方が承認したことを示すようなメールを受信するようにしてください。
【デメリット】
1 デメリットとしてまずは強制力がないことが挙げられます。
相手方を無理矢理交渉に応じさせることはできません。また、交渉を重ねたにもかかわらず、支払方法・支払金額等で合意できなかった場合には、時間と交渉にかけた費用が無駄になってしまいます。このような場合には、はじめから裁判等の強制的手段に出ていた方が時間的にも費用的にもかからなかったということになります。
さらに、支払いについて合意して「覚え書」等の書面を作ってもそれだけでは強制執行ができません。これに対しては、公正証書を作成することでデメリットを補うことができます。
2 デメリットの2つ目として、交渉を始めることで、相手方が財産隠しをするおそれが挙げられます。
こちらが債権回収に本気で取り組む姿勢を見せると悪質な債務者は財産隠しに取りかかる可能性がございます。
たとえば内容証明郵便を送ることは、債権回収に本気で取り組む姿勢を見せることとなり、相手方に支払いへ向かわせる効果が相当程度見込まれます(実際に内容証明郵便を送ることで債権回収が図れた例も数多くございます。)。しかし、相手方に財産隠し等を行わせる時間を与えることにもなりかねないので、相手方の状況(資金繰り、資産、他の取引先との取引状況等)を分析したうえで行うべきだと考えます。
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