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信託法

信託の変更、併合及び分割

第一節 信託の変更

関係当事者の合意等

第百四十九条

信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、変更後の信託行為の内容を明らかにしてしなければならない。

  • 前項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによりすることができる。この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
    • 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意
    • 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示
  • 前二項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める者による受託者に対する意思表示によってすることができる。この場合において、第二号に掲げるときは、受託者は、委託者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
    • 受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 委託者及び受益者
    • 信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 受益者
  • 前三項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
  • 委託者が現に存しない場合においては、第一項及び第三項第一号の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

特別の事情による信託の変更を命ずる裁判)

第百五十条

信託行為の当時予見することのできなかった特別の事情により、信託事務の処理の方法に係る信託行為の定めが信託の目的及び信託財産の状況その他の事情に照らして受益者の利益に適合しなくなるに至ったときは、裁判所は、委託者、受託者又は受益者の申立てにより、信託の変更を命ずることができる。

  • 前項の申立ては、当該申立てに係る変更後の信託行為の定めを明らかにしてしなければならない。
  • 裁判所は、第一項の申立てについての裁判をする場合には、受託者の陳述を聴かなければならない。ただし、不適法又は理由がないことが明らかであるとして申立てを却下する裁判をするときは、この限りでない。
  • 第一項の申立てについての裁判には、理由の要旨を付さなければならない。
  • 第一項の申立てについての裁判に対しては、委託者、受託者又は受益者に限り、即時抗告をすることができる。
  • 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有する。
  • 第二節 信託の併合

    関係当事者の合意等

    第百五十一条

    • 信託の併合は、従前の各信託の委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
      • 信託の併合後の信託行為の内容
      • 信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由
      • 信託の併合に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額
      • 信託の併合がその効力を生ずる日
      • その他法務省令で定める事項
    • 前項の規定にかかわらず、信託の併合は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
      • 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意
      • 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示
    • 前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
    • 委託者が現に存しない場合においては、第一項の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

    債権者の異議

    第百五十二条

    • 信託の併合をする場合には、従前の信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、信託の併合について異議を述べることができる。ただし、信託の併合をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。
    • 前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
      • 信託の併合をする旨
      • 前項の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
      • その他法務省令で定める事項
    • 前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。
      • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
      • 電子公告(公告の方法のうち、電磁的方法(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第三十四号に規定する電磁的方法をいう。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって同号に規定するものをとる方法をいう。次節において同じ。)
    • 第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該信託の併合について承認をしたものとみなす。
    • 第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)をいう。次節において同じ。)に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該信託の併合をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

    信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務の範囲等

    第百五十三条

     信託の併合がされた場合において、従前の信託の信託財産責任負担債務であった債務は、信託の併合後の信託の信託財産責任負担債務となる。

    第百五十四条

     信託の併合がされた場合において、前条に規定する従前の信託の信託財産責任負担債務のうち信託財産限定責任負担債務(受託者が信託財産に属する財産のみをもって履行する責任を負う信託財産責任負担債務をいう。以下この章において同じ。)であるものは、信託の併合後の信託の信託財産限定責任負担債務となる。

    第三節 信託の分割
    第一款 吸収信託分割

    関係当事者の合意等

    第百五十五条

    • 吸収信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
      • 吸収信託分割後の信託行為の内容
      • 信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由
      • 吸収信託分割に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額
      • 吸収信託分割がその効力を生ずる日
      • 移転する財産の内容
      • 吸収信託分割によりその信託財産の一部を他の信託に移転する信託(以下この款において「分割信託」という。)の信託財産責任負担債務でなくなり、分割信託からその信託財産の一部の移転を受ける信託(以下「承継信託」という。)の信託財産責任負担債務となる債務があるときは、当該債務に係る事項
      • その他法務省令で定める事項
    • 前項の規定にかかわらず、吸収信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
      • 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意
      • 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示
    • 前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
    • 委託者が現に存しない場合においては、第一項の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

    債権者の異議

    第百五十六条

    • 吸収信託分割をする場合には、分割信託又は承継信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、吸収信託分割について異議を述べることができる。ただし、吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。
    • 前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
      • 吸収信託分割をする旨
      • 前項の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
      • その他法務省令で定める事項
    • 前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。
      • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
      • 電子公告
    • 第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収信託分割について承認をしたものとみなす。
    • 第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収信託分割をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

    吸収信託分割後の分割信託及び承継信託の信託財産責任負担債務の範囲等

    第百五十七条

     吸収信託分割がされた場合において、第百五十五条第一項第六号の債務は、吸収信託分割後の分割信託の信託財産責任負担債務でなくなり、吸収信託分割後の承継信託の信託財産責任負担債務となる。この場合において、分割信託の信託財産限定責任負担債務であった債務は、承継信託の信託財産限定責任負担債務となる。

    第百五十八条

    • 第百五十六条第一項の規定により異議を述べることができる債権者(同条第二項の規定により各別の催告をしなければならないものに限る。)は、同条第二項の催告を受けなかった場合には、吸収信託分割前から有する次の各号に掲げる債権に基づき、受託者に対し、当該各号に定める財産をもって当該債権に係る債務を履行することを請求することもできる。ただし、第一号に定める財産に対しては吸収信託分割がその効力を生ずる日における承継信託の移転を受ける財産の価額を、第二号に定める財産に対しては当該日における分割信託の信託財産の価額を限度とする。
    • 分割信託の信託財産責任負担債務に係る債権(第百五十五条第一項第六号の債務に係る債権を除く。) 吸収信託分割後の承継信託の信託財産に属する財産
    • 承継信託の信託財産責任負担債務に係る債権(第百五十五条第一項第六号の債務に係る債権に限る。) 吸収信託分割後の分割信託の信託財産に属する財産
    第二款 新規信託分割

    関係当事者の合意等

    第百五十九条

    • 新規信託分割は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる。この場合においては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
    • 新規信託分割後の信託行為の内容
    • 信託行為において定める受益権の内容に変更があるときは、その内容及び変更の理由
    • 新規信託分割に際して受益者に対し金銭その他の財産を交付するときは、当該財産の内容及びその価額
    • 新規信託分割がその効力を生ずる日
    • 移転する財産の内容
    • 新規信託分割により従前の信託の信託財産責任負担債務でなくなり、新たな信託の信託財産責任負担債務となる債務があるときは、当該債務に係る事項
    • その他法務省令で定める事項
    • 前項の規定にかかわらず、新規信託分割は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定めるものによってすることができる。この場合において、受託者は、第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し、遅滞なく、同項各号に掲げる事項を通知しなければならない。
    • 信託の目的に反しないことが明らかであるとき 受託者及び受益者の合意
    • 信託の目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるとき 受託者の書面又は電磁的記録によってする意思表示
    • 前二項の規定にかかわらず、各信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
    • 委託者が現に存しない場合においては、第一項の規定は適用せず、第二項中「第一号に掲げるときは委託者に対し、第二号に掲げるときは委託者及び受益者に対し」とあるのは、「第二号に掲げるときは、受益者に対し」とする。

    債権者の異議)

    第百六十条

    • 新規信託分割をする場合には、従前の信託の信託財産責任負担債務に係る債権を有する債権者は、受託者に対し、新規信託分割について異議を述べることができる。ただし、新規信託分割をしても当該債権者を害するおそれのないことが明らかであるときは、この限りでない。
    • 前項の規定により同項の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、受託者は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、同項の債権者で知れているものには、各別に催告しなければならない。ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
    • 新規信託分割をする旨
    • 前項の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
    • その他法務省令で定める事項
    • 前項の規定にかかわらず、法人である受託者は、公告(次に掲げる方法によるものに限る。)をもって同項の規定による各別の催告に代えることができる。
    • 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
    • 電子公告
    • 第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該新規信託分割について承認をしたものとみなす。
    • 第一項の債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、受託者は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該新規信託分割をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

    新規信託分割後の従前の信託及び新たな信託の信託財産責任負担債務の範囲等)

    第百六十一条

    • 新規信託分割がされた場合において、第百五十九条第一項第六号の債務は、新規信託分割後の従前の信託の信託財産責任負担債務でなくなり、新規信託分割後の新たな信託の信託財産責任負担債務となる。この場合において、従前の信託の信託財産限定責任負担債務であった債務は、新たな信託の信託財産限定責任負担債務となる。

    第百六十二条

    • 第百六十条第一項の規定により異議を述べることができる債権者(同条第二項の規定により各別の催告をしなければならないものに限る。)は、同条第二項の催告を受けなかった場合には、新規信託分割前から有する次の各号に掲げる債権に基づき、受託者に対し、当該各号に定める財産をもって当該債権に係る債務を履行することを請求することもできる。ただし、第一号に定める財産に対しては新規信託分割がその効力を生ずる日における新たな信託の信託財産の価額を、第二号に定める財産に対しては当該日における従前の信託の信託財産の価額を限度とする。
    • 従前の信託の信託財産責任負担債務に係る債権(第百五十九条第一項第六号の債務に係る債権を除く。) 新規信託分割後の新たな信託の信託財産に属する財産
    • 新たな信託の信託財産責任負担債務に係る債権となった債権(第百五十九条第一項第六号の債務に係る債権に限る。) 新規信託分割後の従前の信託の信託財産に属する財産
信託の変更、併合及び分割 信託法