信託法
受益証券発行信託の特例
第一節 総則
受益証券の発行に関する信託行為の定め
第百八十五条
- 信託行為においては、この章の定めるところにより、一又は二以上の受益権を表示する証券(以下「受益証券」という。)を発行する旨を定めることができる。
- 2前項の規定は、当該信託行為において特定の内容の受益権については受益証券を発行しない旨を定めることを妨げない。
- 3第一項の定めのある信託(以下「受益証券発行信託」という。)においては、信託の変更によって前二項の定めを変更することはできない。
- 4第一項の定めのない信託においては、信託の変更によって同項又は第二項の定めを設けることはできない。
受益権原簿
第百八十六条
- 受益証券発行信託の受託者は、遅滞なく、受益権原簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下この章において「受益権原簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
- 一各受益権に係る受益債権の内容その他の受益権の内容を特定するものとして法務省令で定める事項
- 二各受益権に係る受益証券の番号、発行の日、受益証券が記名式か又は無記名式かの別及び無記名式の受益証券の数
- 三各受益権に係る受益者(無記名受益権の受益者を除く。)の氏名又は名称及び住所
- 四前号の受益者が各受益権を取得した日
- 五前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
受益権原簿記載事項を記載した書面の交付等
第百八十七条
- 第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された受益権原簿記載事項を記載した書面の交付又は当該受益権原簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
- 2前項の書面には、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
- 3第一項の電磁的記録には、受益証券発行信託の受託者が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
- 4受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
受益権原簿管理人
第百八十八条
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- 受益証券発行信託の受託者は、受益権原簿管理人(受益証券発行信託の受託者に代わって受益権原簿の作成及び備置きその他の受益権原簿に関する事務を行う者をいう。以下同じ。)を定め、当該事務を行うことを委託することができる。
基準日
第百八十九条
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- 受益証券発行信託の受託者は、一定の日(以下この条において「基準日」という。)を定めて、基準日において受益権原簿に記載され、又は記録されている受益者(以下この条において「基準日受益者」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
- 2前項の規定は、無記名受益権の受益者については、適用しない。
- 3基準日を定める場合には、受益証券発行信託の受託者は、基準日受益者が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
- 4受益証券発行信託の受託者は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を官報に公告しなければならない。ただし、信託行為に当該基準日及び基準日受益者が行使することができる権利の内容について定めがあるときは、この限りでない。
- 5第一項、第三項及び前項本文の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
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受益権原簿の備置き及び閲覧等
第百九十条
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- 受益証券発行信託の受託者は、受益権原簿をその住所(当該受託者が法人である場合(受益権原簿管理人が現に存する場合を除く。)にあってはその主たる事務所、受益権原簿管理人が現に存する場合にあってはその営業所)に備え置かなければならない。
- 2委託者、受益者その他の利害関係人は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
- 一受益権原簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
- 二受益権原簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
- 3前項の請求があったときは、受益証券発行信託の受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
- 一当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
- 二請求者が不適当な時に請求を行ったとき。
- 三請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
- 四請求者が前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
- 五請求者が、過去二年以内において、前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
- 4第百八十六条第三号又は第四号に掲げる事項(第百八十五条第二項の定めのない受益権に係るものに限る。)について第二項の請求があった場合において、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
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受益者に対する通知等
第百九十一条
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- 受益証券発行信託の受託者が受益者に対してする通知又は催告は、受益権原簿に記載し、又は記録した当該受益者の住所(当該受益者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該受託者に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
- 2前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
- 3受益証券発行信託の受益権が二人以上の者の共有に属するときは、共有者は、受益証券発行信託の受託者が受益者に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該受託者に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を受益者とみなして、前二項の規定を適用する。
- 4前項の規定による共有者の通知がない場合には、受益証券発行信託の受託者が受益権の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
- 5この法律の規定により受益証券発行信託の受託者が無記名受益権の受益者に対してすべき通知は、当該受益者のうち当該受託者に氏名又は名称及び住所の知れている者に対してすれば足りる。この場合においては、当該受託者は、その通知すべき事項を官報に公告しなければならない。
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無記名受益権の受益者による権利の行使
第百九十二条
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- 無記名受益権の受益者は、受益証券発行信託の受託者その他の者に対しその権利を行使しようとするときは、その受益証券を当該受託者その他の者に提示しなければならない。
- 2無記名受益権の受益者は、受益者集会において議決権を行使しようとするときは、受益者集会の日の一週間前までに、その受益証券を第百八条に規定する招集者に提示しなければならない。
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共有者による権利の行使
第百九十三条
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- 受益証券発行信託の受益権が二人以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該受益権についての権利を行使する者一人を定め、受益証券発行信託の受託者に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該受益権についての権利を行使することができない。ただし、当該受託者が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
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第二節 受益権の譲渡等の特例
受益証券の発行された受益権の譲渡
第百九十四条
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- 受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。)の譲渡は、当該受益権に係る受益証券を交付しなければ、その効力を生じない。
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受益証券発行信託における受益権の譲渡の対抗要件
第百九十五条
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- 受益証券発行信託の受益権の譲渡は、その受益権を取得した者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、受益証券発行信託の受託者に対抗することができない。
- 2第百八十五条第二項の定めのある受益権に関する前項の規定の適用については、同項中「受託者」とあるのは、「受託者その他の第三者」とする。
- 3第一項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
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権利の推定等
第百九十六条
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- 受益証券の占有者は、当該受益証券に係る受益権を適法に有するものと推定する。
- 2受益証券の交付を受けた者は、当該受益証券に係る受益権についての権利を取得する。ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
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受益者の請求によらない受益権原簿記載事項の記載又は記録
第百九十七条
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- 受益証券発行信託の受託者は、次の各号に掲げる場合には、法務省令で定めるところにより、当該各号の受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 一受益証券発行信託の受益権を取得した場合において、当該受益権が消滅しなかったとき。
- 二前号の受益証券発行信託の受益権を処分したとき。
- 2受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の併合がされた場合には、併合された受益権について、その受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 3受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の分割がされた場合には、分割された受益権について、その受益権の受益者に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 4前三項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
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受益者の請求による受益権原簿記載事項の記載又は記録
第百九十八条
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- 受益証券発行信託の受益権を受益証券発行信託の受託者以外の者から取得した者(当該受託者を除く。)は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益権に係る受益権原簿記載事項を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
- 2前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した受益権の受益者として受益権原簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
- 3前二項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
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受益証券の発行された受益権の質入れ
第百九十九条
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- 受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。)の質入れは、当該受益権に係る受益証券を交付しなければ、その効力を生じない。
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受益証券発行信託における受益権の質入れの対抗要件
第二百条
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- 受益証券発行信託の受益権(第百八十五条第二項の定めのある受益権を除く。)の質権者は、継続して当該受益権に係る受益証券を占有しなければ、その質権をもって受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗することができない。
- 2第百八十五条第二項の定めのある受益権の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗することができない。
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質権に関する受益権原簿の記載等
第二百一条
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- 受益証券発行信託の受益権に質権を設定した者は、受益証券発行信託の受託者に対し、次に掲げる事項を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
- 一質権者の氏名又は名称及び住所
- 二質権の目的である受益権
- 2前項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
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質権に関する受益権原簿の記載事項を記載した書面の交付等
第二百二条
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- 前条第一項各号に掲げる事項が受益権原簿に記載され、又は記録された質権者(以下この節において「登録受益権質権者」という。)は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該登録受益権質権者についての受益権原簿に記載され、若しくは記録された同項各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
- 2前項の書面には、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
- 3第一項の電磁的記録には、受益証券発行信託の受託者が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
- 4受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前二項の規定の適用については、これらの規定中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
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登録受益権質権者に対する通知等
第二百三条
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- 受益証券発行信託の受託者が登録受益権質権者に対してする通知又は催告は、受益権原簿に記載し、又は記録した当該登録受益権質権者の住所(当該登録受益権質権者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該受託者に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
- 2前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
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受益権の併合又は分割に係る受益権原簿の記載等
第二百四条
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- 受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の併合がされた場合において、当該受益権を目的とする質権の質権者が登録受益権質権者であるときは、併合された受益権について、その質権者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 2受益証券発行信託の受託者は、信託の変更によって受益権の分割がされた場合において、当該受益権を目的とする質権の質権者が登録受益権質権者であるときは、分割された受益権について、その質権者の氏名又は名称及び住所を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
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第二百五条
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- 受益証券発行信託の受託者は、前条第一項に規定する場合には、併合された受益権に係る受益証券を登録受益権質権者に引き渡さなければならない。
- 2受益証券発行信託の受託者は、前条第二項に規定する場合には、分割された受益権に係る受益証券を登録受益権質権者に引き渡さなければならない。
受益証券の発行されない受益権についての対抗要件等
第二百六条
- 第百八十五条第二項の定めのある受益権で他の信託の信託財産に属するものについては、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければ、当該受益権が信託財産に属することを受益証券発行信託の受託者その他の第三者に対抗することができない。
- 2前項の受益権が属する他の信託の受託者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益権が信託財産に属する旨を受益権原簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
- 3受益権原簿に前項の規定による記載又は記録がされた場合における第百八十七条の規定の適用については、同条第一項中「第百八十五条第二項の定めのある受益権の受益者」とあるのは「第二百六条第一項の受益権が属する他の信託の受託者」と、「当該受益者」とあるのは「当該受益権」と、「記録された受益権原簿記載事項」とあるのは「記録された受益権原簿記載事項(当該受益権が信託財産に属する旨を含む。)」とする。
第三節 受益証券受益証券の発行
第二百七条
- 受益証券発行信託の受託者は、信託行為の定めに従い、遅滞なく、当該受益権に係る受益証券を発行しなければならない。
受益証券不所持の申出
第二百八条
- 受益証券発行信託の受益者は、受益証券発行信託の受託者に対し、当該受益者の有する受益権に係る受益証券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
- 2前項の規定による申出は、その申出に係る受益権の内容を明らかにしてしなければならない。この場合において、当該受益権に係る受益証券が発行されているときは、当該受益者は、当該受益証券を受益証券発行信託の受託者に提出しなければならない。
- 3第一項の規定による申出を受けた受益証券発行信託の受託者は、遅滞なく、前項前段の受益権に係る受益証券を発行しない旨を受益権原簿に記載し、又は記録しなければならない。
- 4受益証券発行信託の受託者は、前項の規定による記載又は記録をしたときは、第二項前段の受益権に係る受益証券を発行することができない。
- 5第二項後段の規定により提出された受益証券は、第三項の規定による記載又は記録をした時において、無効となる。
- 6第一項の規定による申出をした受益者は、いつでも、受益証券発行信託の受託者に対し、第二項前段の受益権に係る受益証券を発行することを請求することができる。この場合において、同項後段の規定により提出された受益証券があるときは、受益証券の発行に要する費用は、当該受益者の負担とする。
- 7前各項の規定は、無記名受益権については、適用しない。
受益証券の記載事項
第二百九条
- 受益証券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、受益証券発行信託の受託者(法人である受託者にあっては、その代表者)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
- 一受益証券発行信託の受益証券である旨
- 二当初の委託者及び受益証券発行信託の受託者の氏名又は名称及び住所
- 三記名式の受益証券にあっては、受益者の氏名又は名称
- 四各受益権に係る受益債権の内容その他の受益権の内容を特定するものとして法務省令で定める事項
- 五受益証券発行信託の受託者に対する費用等の償還及び損害の賠償に関する信託行為の定め
- 六信託報酬の計算方法並びにその支払の方法及び時期
- 七記名式の受益証券をもって表示される受益権について譲渡の制限があるときは、その旨及びその内容
- 八受益者の権利の行使に関する信託行為の定め(信託監督人及び受益者代理人に係る事項を含む。)
- 九その他法務省令で定める事項
- 2受益証券発行信託の受託者が二人以上ある場合における前項の規定の適用については、同項中「受益証券発行信託の受託者」とあるのは、「受益証券発行信託のすべての受託者」とする。
記名式と無記名式との間の転換
第二百十条
- 受益証券が発行されている受益権の受益者は、いつでも、その記名式の受益証券を無記名式とし、又はその無記名式の受益証券を記名式とすることを請求することができる。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
受益証券の喪失
第二百十一条
- 受益証券は、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第百条に規定する公示催告手続によって無効とすることができる。
- 2受益証券を喪失した者は、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定を得た後でなければ、その再発行を請求することができない。
- 3受益証券を喪失した者が非訟事件手続法第百十四条に規定する公示催告の申立てをしたときは、当該受益証券を喪失した者は、相当の担保を供して、受益証券発行信託の受託者に当該受益証券に係る債務を履行させることができる。
第四節 関係当事者の権利義務等の特例受益証券発行信託の受託者の義務の特例
第二百十二条
- 受益証券発行信託においては、第二十九条第二項ただし書の規定にかかわらず、信託行為の定めにより同項本文の義務を軽減することはできない。
- 2受益証券発行信託においては、第三十五条第四項の規定は、適用しない。
受益者の権利行使の制限に関する信託行為の定めの特例
第二百十三条
- 受益証券発行信託においては、第九十二条第一号、第五号、第六号及び第八号の規定にかかわらず、次に掲げる権利の全部又は一部について、総受益者の議決権の百分の三(これを下回る割合を信託行為において定めた場合にあっては、その割合。以下この項において同じ。)以上の割合の受益権を有する受益者又は現に存する受益権の総数の百分の三以上の数の受益権を有する受益者に限り当該権利を行使することができる旨の信託行為の定めを設けることができる。
- 一第二十七条第一項又は第二項(これらの規定を第七十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による取消権
- 二第三十一条第六項又は第七項の規定による取消権
- 三第三十八条第一項の規定による閲覧又は謄写の請求権
- 四第四十六条第一項の規定による検査役の選任の申立権
- 2受益証券発行信託においては、第九十二条第一号の規定にかかわらず、次に掲げる権利の全部又は一部について、総受益者の議決権の十分の一(これを下回る割合を信託行為において定めた場合にあっては、その割合。以下この項において同じ。)以上の割合の受益権を有する受益者又は現に存する受益権の総数の十分の一以上の数の受益権を有する受益者に限り当該権利を行使することができる旨の信託行為の定めを設けることができる。
- 一第百五十条第一項の規定による信託の変更を命ずる裁判の申立権
- 二第百六十五条第一項の規定による信託の終了を命ずる裁判の申立権
- 3受益証券発行信託において、第三十九条第一項の規定による開示が同条第三項の信託行為の定めにより制限されているときは、前二項の規定は、適用しない。
- 4受益証券発行信託においては、第九十二条第十一号の規定にかかわらず、六箇月(これを下回る期間を信託行為において定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き受益権を有する受益者に限り第四十四条第一項の規定による差止めの請求権を行使することができる旨の信託行為の定めを設けることができる。
二人以上の受益者による意思決定の方法の特例
第二百十四条
受益者が二人以上ある受益証券発行信託においては、信託行為に別段の定めがない限り、信託行為に受益者の意思決定(第九十二条各号に掲げる権利の行使に係るものを除く。)は第四章第三節第二款の定めるところによる受益者集会における多数決による旨の定めがあるものとみなす。
委託者の権利の特例
第二百十五条
- 受益証券発行信託においては、この法律の規定による委託者の権利のうち次に掲げる権利は、受益者がこれを行使する。
- 一第三十六条の規定による報告を求める権利
- 二第五十八条第四項(第百三十四条第二項及び第百四十一条第二項において準用する場合を含む。)、第六十二条第四項(第百三十五条第一項及び第百四十二条第一項において準用する場合を含む。)、第六十三条第一項、第七十四条第二項、第百三十一条第四項、第百五十条第一項、第百六十五条第一項、第百六十六条第一項、第百六十九条第一項又は第百七十三条第一項の規定による申立権
- 三第六十二条第二項、第百三十一条第二項又は第百三十八条第二項の規定による催告権
- 四第百七十二条第一項、第二項又は第三項後段の規定による閲覧、謄写若しくは交付又は複製の請求権
- 五第百九十条第二項の規定による閲覧又は謄写の請求権
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