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古くなったアパートを経営しているのですが、この度、アパー・・・

古くなったアパートを経営しているのですが、この度、アパートを取り壊し、高層マンションを建てようと考えています。アパートの借り主には立退料を払ってでも退去して欲しいと考えています。交渉によって退去してくれない借り主に対して、退去を求める裁判を求めた場合、勝訴する可能性はありますか。また、その際の立退料はどの程度になるでしょうか。

弁護士の回答

勝訴する可能性はあります。立退料については、諸事情を総合して判断されます。

裁判で賃貸借契約の解約が認められるためには、まずは賃貸人による解約申入れから6ヶ月間経過していないといけません(借地借家法27条1項)。そして、この解約申入れが認められるかは、以下のような事情を総合考慮したうえで判断されます(借地借家法28条)。

①賃貸人が建物の使用を必要とする事情(再開発の必要性・経済合理性など)
②賃借人が建物の使用を必要とする事情(会社であれば移転によって顧客を失う可能性など)
③建物の賃貸借に関する従前の経過(賃料不払いがあったかなど)
④建物の利用状況(用法遵守義務違反があったかなど)
⑤建物の現況(古くないかなど)
⑥立退料の金額

主たる判断要素は①及び②であり、そのほか③~⑤までを考慮した結果、解約申入れに正当事由があるといいうる場合に、最後の調整として⑥の立退料の金額が決められます。

具体的な裁判としては、高級住宅地において築40年以上の共同住宅等を3棟経営していた者が高級マンションへの建替えを計画した事案において、裁判所は、『築40年を経過していること、地理的条件からすると貸し主が改築する計画を持つことには十分な合理性があること、被告の本件建物使用の必要性は、居住することに尽きているなどとし、このような場合の立退料としては、引越料その他の移転実費、転居後の賃料と原賃料の差額の1,2年分程度の範囲内の金額が移転のための資金の一部を補てんするものとして認められるべき』と判断しました(東京高判平成12年3月23日)。

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