特定商取引法
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- 当社では新しく学校の授業の補習を目的とする事業を開始することを検討しています。こうした補習塾の経営には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
- 当社ではアクセサリ等の高級雑貨の販売を行っていますが、定期的にホテルの一室を借り、展示会を行っております。今回、雑貨を購入したお客様から、返品したいとの連絡がありましたが、当社が返品に応じる必要はありますか。なお、当社では特商法に基づく書面の交付は行っています。
- 当社では家庭教師派遣サービスを行っていますが、この度、新規に、添削指導員による通信指導事業も行おうと検討しています。こうした通信指導にも、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
- 商品の販売を店舗以外で行うことは原則として「訪問販売」に該当するということですが、路上などの公共の場でお客様に説明し、その後当社の店舗にお客様に来ていただいて売買契約を結んだお客様から返品したいとの連絡がありました。当社が返品に応じる必要はありますか。なお、この売買に関して、お客様に対して特に書面はお渡ししていません。
- 当社では、この度、高齢者の自宅に伺ってパソコン操作の指導を行うサービスを始めようと検討しています。こうした自宅でのパソコン指導サービスにも、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
- 当社では、お客様の自宅に訪問して、不要になった指輪やネックレスを買い取るサービスを検討しています。こうした購入方法に特定商取引法の規制は及びますか。
- 当社ではリゾート会員権の通信販売を行うことを検討しています。商品ではなく、このような会員権の販売は、法令で通信販売の適用対象が限定されていると聞いていますが、リゾート会員権の通信販売には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
- 特商法上の訪問購入に該当する場合、どのような規制がなされますか。
- 当社では、コンビニエンスストアに設置されている専用端末機から消費者の申込みを受ける形で、商品の販売を行う方法を検討しています。このように、郵便やパソコンを利用しない手段であっても、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
- 当社は、特商法の訪問購入を行っています。お客様から買い取った宝石を専門の買取業者に買い取ってもらうことが多いのですが、今般、お客様からクーリング・オフをしたいとの申し出がありました。当社の手元にはもう宝石はないのですが、当社や買取業者はどうすればよいでしょうか。
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当社では新しく学校の授業の補習を目的とする事業を開始することを検討しています。こうした補習塾の経営には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
当社では新しく学校の授業の補習を目的とする事業を開始することを検討しています。こうした補習塾の経営には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。弁護士の回答
原則として特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の特定継続的役務提供に該当し、同法による規制が適用されます。
特商法によると、エステティックサロン、語学教育、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相談所の6つのサービスについては、「特定継続的役務提供」と定義し、原則として、これらのサービスを提供する契約については、クーリング・オフや契約途中での解除が認められます。
これらのサービスについては、利用者に考え直す機会を与える趣旨で、クーリング・オフや中途解除権が認められているのです。
貴社では、学校の授業の補修を目的とした事業を検討されているようですが、入試対策を行わない補習塾であっても、特定継続的役務提供の「学習塾」に該当し、特商法の適用を受けることになります。
ただし、役務提供期間が2か月以下である場合には、特商法の適用はありません。
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当社ではアクセサリ等の高級雑貨の販売を行っていますが、定期的にホテルの一室を借り、展示会を行っております。今回、雑貨を購入したお客様から、返品したいとの連絡がありましたが、当社が返品に応じる必要はありますか。なお、当社では特商法に基づく書面の交付は行っています。
当社ではアクセサリ等の高級雑貨の販売を行っていますが、定期的にホテルの一室を借り、展示会を行っております。今回、雑貨を購入したお客様から、返品したいとの連絡がありましたが、当社が返品に応じる必要はありますか。なお、当社では特商法に基づく書面の交付は行っています。弁護士の回答
特定商取引法上の訪問販売に該当するため、書面を交付してから8日間は、お客様からの返品申出があった場合、代金を返還する必要があります。
特定商取引法によると、営業所や代理店その他法令で定められた場所以外の場所で売買を行うことは、「訪問販売」に該当します。
この点、貴社の展示会の開催期間や施設の内容からして、店舗に類似するものでない限り、展示会における販売も「訪問販売」に該当すると思われます。
訪問販売にはクーリング・オフ制度が適用され、特商法4条又は5条に記載された事項が書かれた書面を買主に交付してから8日間以内は、買主は契約を解約することができます(特商法9条1項)。
訪問販売にクーリング・オフが認められているのは、販売業者が不意打ち的に売買の勧誘を行い、消費者が十分契約内容を吟味せずに契約を締結してしまうことがあるからです。
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当社では家庭教師派遣サービスを行っていますが、この度、新規に、添削指導員による通信指導事業も行おうと検討しています。こうした通信指導にも、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
当社では家庭教師派遣サービスを行っていますが、この度、新規に、添削指導員による通信指導事業も行おうと検討しています。こうした通信指導にも、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。弁護士の回答
原則として特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の特定継続的役務提供に該当し、同法による規制が適用されます。
特商法によると、エステティックサロン、語学教育、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相談所の6つのサービスについては、特定継続的役務提供として、クーリング・オフや契約途中での解除が認められます。
上記のとおり、家庭教師派遣サービスは特定継続的役務提供に該当するので、特商法の適用を受けることになります。
そして、この「家庭教師」事業には、生徒の答案を添削して行う通信指導も含まれるとされていますので、貴社の新事業は原則として、特商法の規制が及びます。
ただし、役務提供期間の契約が2か月以下である場合には、特商法の適用はありません。
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商品の販売を店舗以外で行うことは原則として「訪問販売」に該当するということですが、路上などの公共の場でお客様に説明し、その後当社の店舗にお客様に来ていただいて売買契約を結んだお客様から返品したいとの連絡がありました。当社が返品に応じる必要はありますか。なお、この売買に関して、お客様に対して特に書面はお渡ししていません。
商品の販売を店舗以外で行うことは原則として「訪問販売」に該当するということですが、路上などの公共の場でお客様に説明し、その後当社の店舗にお客様に来ていただいて売買契約を結んだお客様から返品したいとの連絡がありました。当社が返品に応じる必要はありますか。なお、この売買に関して、お客様に対して特に書面はお渡ししていません。弁護士の回答
特定商取引法上の訪問販売に該当するため、お客様からの申出があった場合、代金を返還する必要があります。また、今後、そのお客様に特商法に定める書面を交付しない限り、クーリング・オフの権利行使期間が終了しないため、注意が必要です。
特定商取引法によると、店舗以外の場所において呼び止めて店舗に同行させた者と売買を行う場合も「訪問販売」に該当する、としています。
いわゆるキャッチセールスに対する消費者被害が拡大し、このような規制がなされるようになったのです。
したがって、路上で呼び止めたお客様に対し、店舗で販売する場合でもあっても「訪問販売」に該当することになり(特商法2条1項2号本文)、特定商取引法の規制を受けます。
このように、貴社の販売方法もクーリング・オフの対象になります。クーリング・オフは、特商法4条又は5条の書面が交付されてから8日以内に行う必要がありますが(特商法9条1項)、この書面が消費者に交付されていない場合や交付されていても記載に不備があった場合は、いつまでもクーリング・オフの権利の行使が可能となり、返品に応じる必要があるので、注意が必要です。
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当社では、この度、高齢者の自宅に伺ってパソコン操作の指導を行うサービスを始めようと検討しています。こうした自宅でのパソコン指導サービスにも、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
当社では、この度、高齢者の自宅に伺ってパソコン操作の指導を行うサービスを始めようと検討しています。こうした自宅でのパソコン指導サービスにも、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。弁護士の回答
原則として特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の特定継続的役務提供に該当し、同法による規制が適用されます。
特商法によると、エステティックサロン、語学教育、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相談所の6つのサービスについては、特定継続的役務提供として、クーリング・オフや契約途中での解除が認められます。
パソコン教室であれば、方法や場所は問われません。
したがって、高齢者の自宅に訪問してパソコン操作を教える場合でも、特定継続的役務提供の「パソコン教室」に該当し、特商法の適用を受けることになります。
ただし、役務提供期間が2か月以下である場合には、特商法の適用はありません。
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当社では、お客様の自宅に訪問して、不要になった指輪やネックレスを買い取るサービスを検討しています。こうした購入方法に特定商取引法の規制は及びますか。
当社では、お客様の自宅に訪問して、不要になった指輪やネックレスを買い取るサービスを検討しています。こうした購入方法に特定商取引法の規制は及びますか。弁護士の回答
特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の訪問購入(特商法58条の4)に該当し、同法による規制が適用されます。
「訪問購入」とは、①購入業者が、②店舗等以外の場所において、③物品の売買の申込みを受けたり、売買契約を締結するという購入方法です(特商法58条の4)。
ここでいう「購入業者」とは、営利の意思をもって、反復継続して物品の購入を行う者をいいます。
したがって、貴社が顧客の自宅を訪問し、営利の意思をもって、反復継続して指輪やネックレスの購入サービスを行う場合には、特商法による規制が適用されます。 -
当社ではリゾート会員権の通信販売を行うことを検討しています。商品ではなく、このような会員権の販売は、法令で通信販売の適用対象が限定されていると聞いていますが、リゾート会員権の通信販売には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
当社ではリゾート会員権の通信販売を行うことを検討しています。商品ではなく、このような会員権の販売は、法令で通信販売の適用対象が限定されていると聞いていますが、リゾート会員権の通信販売には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。弁護士の回答
特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の通信販売に該当し、同法による規制が適用されます。
商品の販売であれば、その種類に関係なく特商法の適用があるのに対し、権利の販売については、政令で定める権利に限って特商法が適用されます。
政令で通信販売の対象となると定められた権利としては、リゾート会員権やゴルフ場会員権等があります。
したがって、リゾート会員権の通信販売を行う場合には、特商法の適用を受けることになります。
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特商法上の訪問購入に該当する場合、どのような規制がなされますか。
特商法上の訪問購入に該当する場合、どのような規制がなされますか。弁護士の回答
訪問購入を行う業者(購入業者)は、訪問時に、自らの氏名・名称、契約締結の勧誘目的での訪問であること、購入しようとする物品の種類を相手方に告げる必要があります(特商法58条の5)。この告知は、勧誘を始める前に告げなければなりません。
また、購入業者は勧誘を行う前に、相手方が勧誘を受ける意思があるかを確認する必要があり、勧誘を受ける意思がないことを示した者に対して勧誘を継続することは禁止されています(特商法58条の6)。
そして、購入業者は、契約の申込みを受け、又は契約を締結した際には、特商法58条の7又は58条の8に列挙された事項を記載した書面を顧客に対して交付しなければなりません。
さらに、上記書面を交付してから8日間の間は、顧客によるクーリング・オフに応じる必要があります(特商法58条の14)。クーリング・オフの要請を受けた場合、買い取った物品を顧客に返却する必要があります。 -
当社では、コンビニエンスストアに設置されている専用端末機から消費者の申込みを受ける形で、商品の販売を行う方法を検討しています。このように、郵便やパソコンを利用しない手段であっても、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
当社では、コンビニエンスストアに設置されている専用端末機から消費者の申込みを受ける形で、商品の販売を行う方法を検討しています。このように、郵便やパソコンを利用しない手段であっても、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。弁護士の回答
原則として特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の通信販売に該当し、同法による規制が適用されます。
特商法2条2項では、通信販売とは、「販売業者……が郵便その他の主務省令で定める方法により売買契約……の申込みを受けて行う商品……の販売(以下略)」と定義しています。
特商法施行規則2条2号はこれを受け、申込みを受ける方法として「電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法」を挙げています。
この「その他の通信機器」はパソコンや携帯電話、スマートフォンのみならず、広く通信機器一般を指すため、商品注文専用の端末機器もこれに含まれると解されています。
したがって、コンビニエンスストアに設置されている専用端末機から消費者の申込みを受ける形で商品の売買を行う場合には、通信販売に該当し、特商法の適用を受けることになります。
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当社は、特商法の訪問購入を行っています。お客様から買い取った宝石を専門の買取業者に買い取ってもらうことが多いのですが、今般、お客様からクーリング・オフをしたいとの申し出がありました。当社の手元にはもう宝石はないのですが、当社や買取業者はどうすればよいでしょうか。
当社は、特商法の訪問購入を行っています。お客様から買い取った宝石を専門の買取業者に買い取ってもらうことが多いのですが、今般、お客様からクーリング・オフをしたいとの申し出がありました。当社の手元にはもう宝石はないのですが、当社や買取業者はどうすればよいでしょうか。弁護士の回答
クーリング・オフ可能な期間内に、購入業者が第三者に対して物品を転売して引き渡した場合、購入業者は、顧客に対し、当該第三者の氏名・名称、住所や連絡先、引き渡した物品の種類、名称、特徴、物品を引き渡した日等を通知しなくてはなりません(特商法58条の11)。
また、クーリング・オフ可能期間内に、物品を第三者に引き渡そうとする場合、購入業者は当該第三者に対し、その物品が訪問購入により取得したものであることやクーリング・オフ可能期間を告知しなければなりません(特商法58条の11の2)。
もっとも、購入業者が上記告知義務を怠り、引渡しを受けた第三者が善意無過失の場合には、クーリング・オフの権利が行使されても、その効力を当該第三者に対抗できません(特商法58条の14第3項)。
したがって、ご質問の事例においては、買取業者が訪問購入により取得された物品であることを知っていたり、知らないことに過失があったときは、クーリング・オフにより、買取業者は物品を返還しなければなりません。
また、買取業者が善意無過失で、クーリング・オフの効力を買取業者に対抗できない場合には、貴社は、物品を販売した顧客に対し、損害賠償責任を負うことになります。