独占禁止法
事業者及び事業者団体
【1.事業者】
第2条1項
この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。
第2条1項前段
「その他の事業」とは、営利的事業に限定されず、判例によれば「なんらかの経済的利益の供給に対応し反対給付を反復継続して受ける経済活動」とされています(最判平成元年12月14日)。
したがって、上記に該当する経済活動を行っていれば、法人格を有している必要はありません。同様に、国や地方公共団体も上記に該当する経済活動を行っているならば、独占禁止法上の「事業者」に該当することになります。
第2条1項後段
例えば、複数の株式会社の取締役が会社の利益のために団体を構成した場合、その団体は事業者団体の規制を受けます。
【2.事業者団体】
第2条2項
2 この法律において「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。
- 一 二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である社団法人その他の社団
- 二 二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している財団法人その他の財団
- 三 二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体
第2条1項本文
一般的に事業者団体の該当性は広く捉えられており、事業者が構成する団体のほとんどが、事業者団体に該当すると言ってよいでしょう。
また、「事業者として共通の利益を増進すること」とは、当該事業者らの所属する業界の一般的な利益を増進するものでもよいとされていますが、専ら学術の振興やチャリティーの推進を行うことを目的としている団体は、事業者団体に当たりません。
さらに、事業者団体は、同業者同士のみで構成されている必要はなく、異なる業種の事業者ら(例えば、メーカーと卸売業者)で構成されていても構いません。
第2条2項ただし書
例えば、複数の事業者が株式会社の株主となり団体を構成していても、その株式会社は事業者団体ではなく、事業者として独占禁止法の適用を受けます。
第2条2項1号ないし3号
上記株式会社の株主が事業者の場合と異なり、複数の事業者が「社団」、「財団」、「組合」を構成する場合には事業者団体となります。
これらの団体は「事業者」の要件も満たせば、「事業者」としても独占禁止法の適用を受けます。