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独占禁止法

正当化理由

1)総論

独占禁止法が規制する行為類型のうち、私的独占及び不当な取引制限においては、「公共の利益に反して」一定の取引分野における競争の実質的制限を禁止しています。つまり、独占禁止法は、一定の取引分野における競争の実質的制限がある場合でも、公共の利益に反しなければ、適法となることを認めているのです。
そこで、「公共の利益に反して」とはどういう意味なのか、問題となります。

2)「公共の利益に反して」の意味

① 石油カルテル事件

最判昭和59年2月24日(石油カルテル事件)は、「公共の利益に反して」とは、「原則としては同法(注:独占禁止法)の直接の保護法益である自由競争経済秩序に反することを指すが、現に行われた行為が形式的に右に該当する場合であっても、右法益と当該行為によって守られる利益とを比較して、『一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する』という同法の究極の目的に実質的に反しないと認められる例外的な場合を右規定にいう『不当な取引制限』行為から除外する趣旨」であると述べています。

② 社会公共目的のための行為

日本遊技銃協同組合事件(東京地判平成9年4月9日)では、遊技銃の安全性確保を目的として自主基準を設定し、自主基準を守らない業者との取引を拒絶したという事案において、安全性確保という目的の合理性を肯定しました。
このように、独占禁止法第1条に規定する同法の目的のみならず、社会公共目的のための行為によって競争制限効果が生じる場合であっても、その目的の合理性を考慮して、独占禁止法上の適法性を判断される傾向が見られます。