独占禁止法
差別対価
第19条
事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。
第2条第9項第2号・第6号イ
9 この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
- ② 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品又は役務を継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
- ⑥ 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの
- イ 不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。
一般指定第3項
3 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「法」という。)第2条第9項第2号に該当する行為のほか、不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品若しくは役務を供給し、又はこれらの供給を受けること。
第2条第9項第2号
「差別的な対価」とは、同じ商品や役務に異なる対価を定めることをいいます。
ただし、例えば遠方の買主に対して大型の機械を販売する例を考えればわかるように、地域や相手方によって、輸送コストが異なる場合、それを考慮した値引きを行うことは、不当な差別対価には当たりません。
「不当に」とは、他の不公正な取引方法と同様、公正競争阻害性があることをいいます。差別対価は、不当廉売(=不当に安く販売する)型と、取引拒絶型に分かれます。
不当廉売型における公正競争阻害性の有無の判断は、不当廉売における公正競争阻害性の判断と同じように、その商品役務の販売により原価割れが生じているか否か、という点が大きな要素となります。
一方、取引拒絶型においては、差別対価が取引拒絶と同様の意図、目的で行われる場合、すなわち
- ①差別対価が、独占禁止法上、違法な行為の実行確保手段として用いられる場合
- ②市場における有力な事業者が、競争者を市場から排除するなどの独占禁止法上不当な目的達成の手段として差別対価を行い、これによって拒絶された事業者の通常の事業活動が困難となるおそれがある場合
といった場合には、取引拒絶の場合と同様、差別対価についても公正競争阻害性が認められると考えられます。