特定商取引法
このページのQ&A一覧
- 当社からお客様に対して電話をかけるのではなく、お客様から電話をかけて頂いた上で商品の購入を勧める場合にも、特商法の適用はありますか。
- 特商法上の電話勧誘販売に該当する場合、どのような規制がなされますか。
- 当社では健康食品の販売を行っていますが、販売形態としては、店舗での販売以外に、喫茶店やホテルのロビーでお客様と待ち合わせて、商品を販売することもあります。このようにお客様の自宅に訪問する場合以外でも、当社からお客様に対して特に書面はお渡ししていません。当社としても、こうした売買の有り方を見直したいのですが、どのように対応すればよいですか。
- 当社は寝具の訪問販売を行っておりますが、先日、あるお客様に代金30万円の布団をお買い上げいただき、支払は信販会社のクレジットを利用し、36回の分割払いとのお約束をしていた。すると、その翌日、そのお客様から口頭で上記売買契約を解除したい旨の連絡がありました。このように、口頭によるクーリング・オフでも有効となるのでしょうか。
- 当社では、自社の店舗で高級雑貨を販売していますが、それ以外に、お得意様の自宅を訪問する、いわゆる御用聞き販売も行っています。こうした販売形態でも、特定商取引法の適用があるのでしょうか。
- 当社では新しく学校の授業の補習を目的とする事業を開始することを検討しています。こうした補習塾の経営には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
- 当社ではアクセサリ等の高級雑貨の販売を行っていますが、定期的にホテルの一室を借り、展示会を行っております。今回、雑貨を購入したお客様から、返品したいとの連絡がありましたが、当社が返品に応じる必要はありますか。なお、当社では特商法に基づく書面の交付は行っています。
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当社からお客様に対して電話をかけるのではなく、お客様から電話をかけて頂いた上で商品の購入を勧める場合にも、特商法の適用はありますか。
当社からお客様に対して電話をかけるのではなく、お客様から電話をかけて頂いた上で商品の購入を勧める場合にも、特商法の適用はありますか。弁護士の回答
この場合でも特商法上の電話勧誘販売(特商法2条3項)に該当し、同法による規制が適用されます。
電話勧誘販売は、販売業者が購入者に電話をかけて商品の購入を勧誘するケースだけではありません。
例えば、①チラシ、パンフレット、ダイレクトメール等を配布し、売買の勧誘を行う目的であると告げずに、消費者に電話をかけるよう要請し、実際に消費者に電話をかけさせる場合も、電話勧誘販売に該当します(特商法2条3項、特商法施行令2条1号)。また、②他者と比べて著しく有利な条件で商品を購入できると告げて、消費者に電話させる場合も、電話勧誘販売に該当します(特商法2条3項、特商法施行令2条2号)。
したがって、①売買の勧誘目的であること自体を隠したり、②勧誘目的であることは明らかにしていても、著しく有利な条件で販売すると告げて、お客様に電話をかけさせる場合には、電話勧誘販売に該当するおそれがありますので、注意が必要です。
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特商法上の電話勧誘販売に該当する場合、どのような規制がなされますか。
特商法上の電話勧誘販売に該当する場合、どのような規制がなされますか。弁護士の回答
電話勧誘販売を行う販売業者は、①企業名、担当者名、商品の種類、売買契約を結ぶために電話勧誘をする旨を明示し(特商法16条)、②クーリング・オフ等に関する書面を交付する(特商法18条、19条)義務を負います。
また、電話において契約しない意思を示した者に対して、売買契約等の勧誘を行うことは禁止されています(特商法17条)。
さらに、電話勧誘を受けた者は、特商法18条又は19条の書面を受け取ってから8日以内であれば、クーリング・オフにより申込みや契約を取り消すことができます(特商法24条)。
このように、電話勧誘販売については、訪問販売と類似した法規制がなされています。それは、電話勧誘販売が、事業者側から一方的に話を持ちかけられ、購入する消費者にとって十分な判断の機会がなく契約を締結させられるという点で、訪問販売と類似しているからです。
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当社では健康食品の販売を行っていますが、販売形態としては、店舗での販売以外に、喫茶店やホテルのロビーでお客様と待ち合わせて、商品を販売することもあります。このようにお客様の自宅に訪問する場合以外でも、当社からお客様に対して特に書面はお渡ししていません。当社としても、こうした売買の有り方を見直したいのですが、どのように対応すればよいですか。
当社では健康食品の販売を行っていますが、販売形態としては、店舗での販売以外に、喫茶店やホテルのロビーでお客様と待ち合わせて、商品を販売することもあります。このようにお客様の自宅に訪問する場合以外でも、当社からお客様に対して特に書面はお渡ししていません。当社としても、こうした売買の有り方を見直したいのですが、どのように対応すればよいですか。弁護士の回答
このような売買は、原則として特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の訪問販売に該当します。したがって、特商法4条又は5条の規定事項が書かれた書面を、お客様に交付しなければなりません。また、クーリング・オフ制度の対象にもなりますので、一定期間内はお客様からの解約の要求に応じる必要があります(特商法9条)。
特商法によると、営業所や代理店その他法令で定められた場所以外の場所で売買を行うことは、「訪問販売」に該当します。
これは、訪問業者と消費者との間の接触がその場限りになるため、後の紛争解決が困難になることを防ぐ必要があるからです。
したがって、買主の自宅以外の、喫茶店やホテルのロビーといった公の場所における売買も、「訪問販売」に該当し、特定商取引法の規制を受けます。
よって、このような場所で売買を行う際は、特商法第4条又は第5条の書面を交付する必要があります。
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当社は寝具の訪問販売を行っておりますが、先日、あるお客様に代金30万円の布団をお買い上げいただき、支払は信販会社のクレジットを利用し、36回の分割払いとのお約束をしていた。すると、その翌日、そのお客様から口頭で上記売買契約を解除したい旨の連絡がありました。このように、口頭によるクーリング・オフでも有効となるのでしょうか。
当社は寝具の訪問販売を行っておりますが、先日、あるお客様に代金30万円の布団をお買い上げいただき、支払は信販会社のクレジットを利用し、36回の分割払いとのお約束をしていた。すると、その翌日、そのお客様から口頭で上記売買契約を解除したい旨の連絡がありました。このように、口頭によるクーリング・オフでも有効となるのでしょうか。弁護士の回答
口頭によるクーリング・オフでも有効となる場合があります。
法文上は、クーリング・オフは「書面により」行うことができるとされていますが(特定商取引法9条など)、その趣旨はクーリング・オフについて後日紛争が生じないよう明確にしておく点にあり、またそもそもクーリング・オフ制度が消費者保護に重点を置いたものであることからしても、書面によらなければすべて無効となるわけではなく、口頭によるクーリング・オフであっても、書面による場合と同等の明確な証拠がある場合には有効となります(参考:福岡高裁平成6年8月31日判決)。
よって、口頭でクーリング・オフをしたことについて、お客様の側で立証できる場合には、当該クーリング・オフは有効となります。
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当社では、自社の店舗で高級雑貨を販売していますが、それ以外に、お得意様の自宅を訪問する、いわゆる御用聞き販売も行っています。こうした販売形態でも、特定商取引法の適用があるのでしょうか。
当社では、自社の店舗で高級雑貨を販売していますが、それ以外に、お得意様の自宅を訪問する、いわゆる御用聞き販売も行っています。こうした販売形態でも、特定商取引法の適用があるのでしょうか。弁護士の回答
一定の要件を満たすいわゆる御用聞き販売については、訪問販売には当たるものの、特商法4条や5条の書面を提示したり、クーリング・オフに応じる必要はありません(特商法26条5項2号、特商法施行令8条1号)。
訪問販売に該当する場合でも、以下の場合には、書面の提示に関する規定やクーリング・オフの規定等が適用されません(特商法26条5項各号、特商法施行令8条各号)。
- 顧客が販売業者に対し、住居において契約の申込みや締結をするよう請求した場合
- 店舗を持つ販売業者が定期的に巡回訪問し、売買の勧誘をせずに取引が行われる場合(御用聞き)
- 店舗を持つ販売業者が過去1年以内に取引があった顧客に対して行う訪問販売
- 店舗を持たない販売業者が過去1年以内に2回以上取引があった顧客に対して行う訪問販売
したがって、貴社が定期的に自宅を巡回訪問して、かつ、売買の勧誘をすることなく取引が行われるのであれば、特商法4条や5条の書面を提示したり、クーリング・オフに応じる必要はありません。しかし、氏名等を明示する必要があったり、勧誘を拒否した者に対して再勧誘が禁止されることは、通常の訪問販売と変わりません。
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当社では新しく学校の授業の補習を目的とする事業を開始することを検討しています。こうした補習塾の経営には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。
当社では新しく学校の授業の補習を目的とする事業を開始することを検討しています。こうした補習塾の経営には、特定商取引法の規制が及ぶのでしょうか。弁護士の回答
原則として特定商取引に関する法律(以下「特商法」といいます。)上の特定継続的役務提供に該当し、同法による規制が適用されます。
特商法によると、エステティックサロン、語学教育、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相談所の6つのサービスについては、「特定継続的役務提供」と定義し、原則として、これらのサービスを提供する契約については、クーリング・オフや契約途中での解除が認められます。
これらのサービスについては、利用者に考え直す機会を与える趣旨で、クーリング・オフや中途解除権が認められているのです。
貴社では、学校の授業の補修を目的とした事業を検討されているようですが、入試対策を行わない補習塾であっても、特定継続的役務提供の「学習塾」に該当し、特商法の適用を受けることになります。
ただし、役務提供期間が2か月以下である場合には、特商法の適用はありません。
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当社ではアクセサリ等の高級雑貨の販売を行っていますが、定期的にホテルの一室を借り、展示会を行っております。今回、雑貨を購入したお客様から、返品したいとの連絡がありましたが、当社が返品に応じる必要はありますか。なお、当社では特商法に基づく書面の交付は行っています。
当社ではアクセサリ等の高級雑貨の販売を行っていますが、定期的にホテルの一室を借り、展示会を行っております。今回、雑貨を購入したお客様から、返品したいとの連絡がありましたが、当社が返品に応じる必要はありますか。なお、当社では特商法に基づく書面の交付は行っています。弁護士の回答
特定商取引法上の訪問販売に該当するため、書面を交付してから8日間は、お客様からの返品申出があった場合、代金を返還する必要があります。
特定商取引法によると、営業所や代理店その他法令で定められた場所以外の場所で売買を行うことは、「訪問販売」に該当します。
この点、貴社の展示会の開催期間や施設の内容からして、店舗に類似するものでない限り、展示会における販売も「訪問販売」に該当すると思われます。
訪問販売にはクーリング・オフ制度が適用され、特商法4条又は5条に記載された事項が書かれた書面を買主に交付してから8日間以内は、買主は契約を解約することができます(特商法9条1項)。
訪問販売にクーリング・オフが認められているのは、販売業者が不意打ち的に売買の勧誘を行い、消費者が十分契約内容を吟味せずに契約を締結してしまうことがあるからです。